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面白法人カヤック、10社と「移住採用」分野で業務連携

カヤック(神奈川県鎌倉市)は、2026年6月より、中川政七商店(奈良県奈良市)、一般社団法人フィッシャーマン・ジャパン(宮城県石巻市)をはじめ、地域企業の採用支援に取り組む計10の企業・団体(連携パートナー)との業務連携を開始する。
業務連携は、地域の民間企業が地域外から働き手を迎え入れ、移住と採用を一体で支援する「移住採用」の促進を目的とする。連携パートナーは、カヤックが運営するプラットフォーム「スマウト」を活用して地域企業の採用支援に取り組むとともに、スマウトと各連携パートナーが、地域の採用の現場で得られた知見や課題を情報交換し、各地域・各産業の実情に即した移住採用モデルの構築をめざす。
スマウトは28年6月のサービス開始以来、登録地域数1194、登録ユーザー約9万4000人に拡大し、主に自治体や地域おこし協力隊の募集を通じて、地域と人とのマッチングを支援してきた。
今回連携する企業・団体は、特定の産業の採用支援に取り組む「業種型」と、特定エリアに根ざして地域企業の採用支援を行う「地域型」の2タイプで構成されている。両タイプとの連携で、産業の専門性と地域の実情の双方を踏まえた「移住採用」モデルの検証を進める。
(カヤック作成ニュースリリースを要約 6月11日)

地方創生という言葉が、しばしば行政の標語として摩耗してゆくなかで、カヤックの試みが注目に値するのは、人手不足をたんなる労働力の補充として扱わず、移住という生活の選択と採用を同じ地平に置いた点にある。資本の論理で塗り潰された労働市場に、土地の匂いと個人の生き方を接続し直す社会的な調律にも見える。
職は賃金だけで選ばれるのではない。人は、その土地の時間の流れや共同体の気配に身を預ける覚悟をもって、働く場所を決める。カヤックの試みは、その現実を直視している。
エビデンスはすでに示されている。スマウトはサービス開始以来、登録地域数1194、登録ユーザー約9万4000人へと拡大した。自治体や地域おこし協力隊を媒介として蓄積されたこの数字は、都市への一方向的な人口移動とは別の作用に支えられた潜在需要の存在を物語る。地域に関わりたい人々は、決して少数者の夢想ではないのである。
さらに興味深いのは、地域型と業種型という2つの回路を交差させようとする構想だ。地域の事情だけでは閉鎖性に陥り、産業の論理だけでは土地の固有性を失う。その緊張関係のなかにこそ、持続可能な雇用は育つ。
移住は人口統計の数字を埋めるための政策ではなく、移住者がみずからの生の輪郭を引き直す営みである。働くことと住むことを切り離してきた近代的な効率の思想に対して、この連携は静かな修正を促している。経済合理性の背後にある「どこで、誰と生きるのか」という問いを、社会に差し戻す試みとして見るべきだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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