2026/06/15

医療機器メーカーのフクダ電子は3日、福田孝太郎会長の1億5000万円にのぼる経費の不正問題で再発防止策を公表した。2027年3月期末までに取締役の過半数を社外取締役にするなど、ガバナンス(企業統治)体制を強化する。
取締役会は現在10人のうち、社外は4人にとどまる。フクダ電子は5月22日の決算説明会で、6月に予定する定時株主総会で新たに1人の社外取締役を提案する方針を示していた。経営企画部の担当者は「過半に届かないため、さらに追加する可能性がある」と説明した。
代表取締役の交際費などの管理体制を見直す。特別規定をつくり監査役会による定期的な監査を実施する。取締役向けにコンプライアンス(法令順守)やガバナンスの勉強会も開く。保有資産も不必要と判断したものは順次売却する。
フクダ電子の監査役会が外部の専門家の協力を得て実施した調査によると、福田会長は4年10カ月にわたり、本郷事業所(東京・文京)の地下駐車場の30台分の駐車スペースに対して最大28台分を私的に使っていた。少なくとも過去10年にわたり、業務との関連が不透明な社外飲食費も計409件に上った。
(日本経済新聞 6月3日)
フクダ電子が再発防止策として打ち出したのは、2027年3月期末までに取締役の過半数を社外取締役にするという方針である。現在10人のうち社外はわずか4人にとどまる。しかし問われているのは数を増やすことではなく、人選の基準と機能の仕方である。
コーポレートガバナンス・コードが独立社外取締役の比率引き上げを推奨して久しいが、比率の上昇と不祥事の減少が比例しないことは、日本企業の過去10年が静かに証明している。東芝、オリンパス、日野自動車——いずれも社外取締役を擁しながら、組織的な不正が長期にわたって継続した。人を置くことと、人が機能することの間には、深く暗い溝がある。
問題の核心は人選にある。創業家が代表取締役として君臨する企業では、社外取締役の候補者は誰が選ぶのか。旧知の知人、取引先のOB、退職官僚の受け皿——独立性を標榜しながらも、経営トップの視線の届く範囲から一歩も出ない人選が横行する現実が、今もなお払拭されていない。指名委員会を任意に設けるだけでは足りず、選ぶ者と選ばれる者の間に、構造的な切断がなければ社外取締役に緊張感を期待できない。
では社外取締役はいかに機能すべきか。まず、代表取締役の報酬と経費を独立して審査する権限を持つこと。次に、内部告発を社外者が直接受領する回路を制度として設けること。そして任期と再任の条件を明示し、経営陣との長期的な人間関係による癒着を遮断すること。情報へのアクセスを保証されない監視者は、ただそこに座っているだけの存在に過ぎない。
数を揃えることは出発点でさえない。ガバナンスとは意志であり、構造であり、そのふたつが重なって初めて統治と呼べる体制になる。
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