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国会議員のボーナス、据え置きへ 歳費法改正案が衆院通過

国会議員の期末手当(ボーナス)を現行水準に据え置く歳費法改正案が26日の衆院本会議で、賛成多数により可決され、衆院を通過した。2025年12月の改正で同様の措置が取られたものの、26年1月の衆院解散で終了。中東情勢などの影響で物価高に苦しむ国民の現状を踏まえ、衆院の山口俊一議院運営委員長(自民党)が提出。期間は28年7月末か次期衆院選まで。チームみらいと一部議員は反対した。  
歳費法が改正されれば、26年6月のボーナスは満額で、衆参両院ともに議長が約535万円、副議長が約390万円、他の議員が約319万円。それぞれ、約16万円、約11万円、約9万円の増額が据え置かれる。
(共同通信 5月26日)

国会という建物には、時折、季節感だけが先に訪れる。国民が物価高という乾いた風にさらされ、買い物かごの重さと財布の軽さの落差を日々測っている時代に、議員の期末手当だけが「据え置き」という穏当な言葉の中へ避難した。
ここで注目すべきは、削減を見送った事実そのものではなく、その理由の空洞である。法案提出の根拠は「国民生活への配慮」とされるが、配慮がなぜ議員側の待遇維持に着地するのか、論理の橋脚が見えない。今回据え置かれた増額分は一般議員で約9万円、議長で約16万円である。
他方、長くつづく物価上昇は、家計にとって毎日の支出を少しずつ侵食する増税のように作用している。政治とは本来、痛みを配分する技術であるはずだ。だが近年の政治は、自らの痛覚だけを巧妙に麻痺させる技術へと傾いてはいないか。
しかも昨年末の改正は衆院解散によっていったん消え、ふたたび同じ措置が提出された。これは一過性の例外ではなく、制度化された自己保存の気配を感じさせる。数字は冷たいと言われる。しかし実際には数字ほど人間の体温を映すものはない。9万円の増額据え置きは、ある家庭にとっては数週間分の食費であり、あるいは子どもの教育費の一部である。
政治が国民との距離を失うとき、最初に壊れるのは信頼ではない。言葉の意味である。民主主義は投票箱の中だけで生きるのではなく、日々の説明責任の細部に宿る。その微細な亀裂はやがて制度全体を曇らせる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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