2026/05/21

西武・プリンスホテルズワールドワイド(東京都豊島区)は、2026年度に、全社員平均5.3%の賃上げや休日数の引き上げなど従業員のエンゲージメント向上を企図した処遇改善に加え、新たに年次・年功に関わらず、事業を牽引する人財の活躍機会を創出する「抜擢人事制度」と、管理職の再チャレンジの機会を創出する「リチャージ制度」を創設した。
抜擢人事制度は、管理監督者としての素質を持つ優秀な人財でありながら、昇格条件に含まれる勤続年数などにより、管理監督者へ昇格条件を満たしていなかった人財を、執行役員などの上位役職者の推薦により、抜擢登用する人事制度。優秀かつ成長意欲のある人財をホテル運営や経営に関わる総支配人、支配人、部長・課長クラスへ企業主導で早期にステップアップさせることが可能になる。
リチャージ制度は、管理監督者の役職に就いた後に、管理職として自身のキャリアを考え直したいと申し入れがあった場合や、管理職としてさらに研鑽を求めると評価された社員を対象に、一定の業務改善期間を設け、再チャレンジできる人事制度。モチベーションの回復とともに、再挑戦への意欲向上を後押しする。
この2つの精度は26年4月に運用を開始した。24年5月に発表された「西武グループ長期戦略2035」において、「日本をオリジンとするグローバルホテルホテルチェーンへ」を掲げ、国内外250ホテル拠点拡大をめざしている。
(西武・プリンスホテルズワールドワイド作成ニュースリリースを要約 5月8日)
年功序列という日本的経営の慣習が、いよいよその内側から綻びはじめている。西武・プリンスホテルズワールドワイドが2026年度に導入した「抜擢人事制度」と「リチャージ制度」は、その綻びを繕おうとする試みではなく、むしろ綻びそのものを構造化しようとする、きわめて自覚的な試みである。
抜擢制度の核心は単純だ。勤続年数という時間の牢獄から、能力ある人間を解き放つ——そういう宣言である。厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、日本企業の課長級の平均年齢は49.2歳、部長級は52.8歳。年功が反映される人事はいまもなお消えず、有能な中堅・若手人材の流出を招いている現実は否めない。
しかしここで問わねばならないのは、誰が誰を「抜擢」するのか、という権力の所在である。「執行役員などの上位役職者の推薦」——この一文に、制度の誠実さと、その限界が同時に刻まれている。推薦する者の眼差しが制度を動かす以上、そこには推薦者の価値観や対象者との人間関係が影を落としやすい。透明性の担保なき抜擢は、かくして新たな属人性を再生産する温床にもなり得る。
一方のリチャージ制度は、より繊細な問いを孕む。管理職からの「降格」を、敗北ではなく「再チャレンジ」と読み替えるこの制度は、組織に心理的安全性を埋め込む実践である。ピーター・ドラッカーがかつて指摘した通り、組織の最大の浪費は「能力ある人間の意欲の喪失」であり、その損失を黙過してきた日本企業の体質への、静かな異議申し立てとも読める。
「2035年までに国内外250ホテル拠点」という遠大な目標の前に、この2つの制度は、企業文化の変容を宣言する楔である。制度という器に何を注ぐかは、結局のところ、人を信じる覚悟の深さにかかっている。
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