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若手の離職をほぼゼロにした中小企業、相次ぐ「ホワイト離職」を食い止める

米調査企業のギャラップが公表した2025年版『State of the Global Workplace』によると、日本の従業員エンゲージメント率は約7%とされ、世界平均の約21%を大幅に下回る。大手企業を中心に「ホワイト離職」が相次ぐ背景には、従業員エンゲージメントの低さも関係しているといえそうだ。こうした課題の解決アプローチとして「社員でありながら半ば自営業のように働く『自営型社員』を活用すべき」と唱えるのが、同志社大学名誉教授の太田肇氏だ。2025年12月に書籍『離職ゼロ。「自営型社員」が会社を変える!』(東洋経済新報社)を出版した同氏に、若手社員の離職を食い止めるための対策例、米国の若者世代から広がる「静かな退職」への対処法について聞いた。
(中略)
 ──著書では、待遇や環境が整っているはずの職場で「ホワイト離職」が相次いでいることに触れています。なぜ、このような現象が起きるのでしょうか。
太田 有名企業や人気企業といわれる企業では、給与水準も高く、労働時間や休日制度は改善され、福利厚生も整っています。かつてのブラック企業のようなイメージとはほど遠い職場でも、なぜか人が次々と辞めていくのです。
 一見すると不可解ですが、決して珍しい現象ではありません。その背景には、「人は基本的な欲求を満たしたい」というごく当たり前の事実があります。
(Japan Innovation Review 3月3日)

ファーストリテイリングが3日に開いた入社式で、柳井正会長兼社長は「自分の運命は自分でつくる」「自分でこうなりたいと強く決意し、正しい努力を継続してほしい」と訓示を述べたという。この訓示に象徴されるように、同社は成長意欲を十二分に満たせる会社で知られている。
その一方で、若手社会が成長機会を奪われるホワイトハラスメントが、新たな問題に浮上している。過度な配慮や指導不足が成長機会の損失と受け止めた社員は、いまの職場に勤務しつづけることは人生の無駄と危機感を覚え、退職に至ってしまう。ブラック企業で苦しんでいる社員には贅沢な悩みに見えるだろうが、ゆるすぎるのも自分の価値低落を引き起こしそうで焦りを覚えるのである。
 弁護士保険比較サイト「弁護士保険」を運営するエレメント(川崎市)が、全国男女20〜69歳の600人を対象に調査を実施したところ、ハラスメントを恐れて指導を躊躇する上司がおよそ7割に上った。
その一方、若手の半数以上が「ゆるすぎる職場」での市場価値低下に絶望し、離職を検討している。地域別には東京都の若手は「成長焦燥感」が突出し、44%が1年以内の転職を検討している。業種別の特徴は、金融・保険業の55%が「負荷不足」を実感していることだ。
エレメントによると「自覚なきホワハラ予備軍が多数存在し、放置への不安が深刻化している」という。指導が厳しすぎてもハラスメント、指導を躊躇してもハラスメントでは、上司はどう振る舞えばよいのだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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