2026/03/05

高市早苗首相は20日の施政方針演説で、裁量労働制の見直しを検討する考えを明らかにした。
働き方改革の議論が進む厚生労働省の審議会で、焦点となる見通しだ。裁量制は仕事の進め方や時間配分を自らの判断で決められる仕組み。柔軟な働き方が可能となり、業務を効率的に進めやすくなる一方、働き過ぎに陥るとの懸念もつきまとう。
労使の意見は割れている。昨年末の同省審議会で、経済界側委員の一人は「国際競争力を維持・向上させるには、自律的な働き方を広げて労働生産性を高めることが重要だ」と主張した。
裁量制適用の労働者は現在2%未満にとどまる。適用対象は研究開発など20の職種や企画・調査業務に限られ、経団連は対象を労使合意で柔軟に決められる仕組みを求めている。 労働者側は長時間労働を助長しかねないと危惧する。連合の芳野友子会長は19日の記者会見で「命と健康に悪影響を及ぼすリスクがあり、断固反対だ」と強調した。
裁量制の賃金は、実際の労働時間ではなく、あらかじめ労使で決めた「みなし労働時間」に基づき支払われる。ただ、厚労省調査によると、実労働時間は「みなし」より1日平均50分程度長いのが実態だ。現場の労働者からは「残業代逃れの手段だ」と懐疑的な声もある。
(時事通信 2月22日)
裁量労働制の見直しについて、三井物産の安永竜夫会長は2月22日付け日本経済新聞で
「長時間労働に賛成するわけではないが、時間だけに焦点を当てた議論はもうやめるべきだ。海外の働き方を基準に個人に裁量を持たせた働き方を模索すべきだ」「健康管理などバックアップ体制が前提だが、仕事をしたい時は徹底的に仕事をしないと達成感は生まれない」「社会人としてのベースを広げたいのに『午後5時半で帰りなさいはおかしい』と考える若者が比較的多いと思う」と時間を基準にした労働規制に反対意見を述べた。
規制緩和を望む経済団体に対して、労働団体が望むのは現行制度の徹底である。連合の芳野友子会長は「裁量労働制の拡充は命と健康に悪影響を及ぼすリスクがある「「厳格かつ適正な運用が確保されなければ長時間労働を招きかねない」という理由で「断固として反対の立場だ」と明言したうえで、「制度の拡充ではなく、適正運用の徹底を図ること」と主張する。
両者の主張は対立しているが、安永氏も「長時間労働に賛成するわけではない」「健康管理などバックアップ体制が前提」と述べているように、野放図な規制緩和を主張していない。
経済成長か、健康管理か――けっして二者択一の問題ではないのだが、勤務間インターバル制度の導入など休息時間を確保する体制について、政権と経済団体が前面に打ち出さないと健康管理を後回しにしている印象を拭えない。
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