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2025年の早期・希望退職1万3175人、2年連続で1万人超、黒字リストラ定着

2025年に「早期・希望退職募集」が判明した上場企業は43社(前年57社)で、社数は約2割(前年比24.5%減)減少したが、募集人数は1万3,175人(同31.6%増)と急増した。  大手の構造改革の加速で、募集企業の約7割が直近決算で黒字と業績好調な企業で取り組みが目立つ。これまでの人員削減とは様相が異なり、将来の事業転換を見越した「黒字リストラ」は今後も広がるとみられ、対象年齢も中高年の募集が定着している。  
2025年は業績好調な企業で「黒字リストラ」が広がった。三菱電機、三菱ケミカルグループ、明治HD、ソニーグループ、日清紡HDなど名門企業も名を連ねている。  
これまで人員削減は、不況期に人員削減に踏み切る「業績悪化」対策が中心だったが、2025年は好業績の企業が大幅な人員削減に取り組むケースが相次いだ。なかでも中高年を対象に実施する動きが加速し、9月に募集を発表した三菱電機は53歳以上が対象で、三菱ケミカルグループでは50歳以上の1,273人が応募した。10月に募集を発表した明治HDは50歳以上の44人が応募した。
(東京商工リサーチ 1月23日)

黒字リストラについて、2020年1月、経団連の中西宏明会長(当時)は、次のように見解を述べた。
「経営者は、自社のビジネスモデルを変えていくなど構造改革を進めるにあたり、事業に最適な人員構成を考えるものである。働き手にとっても足もとの雇用情勢が良好で、転職がしやすく、早期退職を希望しやすいという状況がある。そうした認識が、経営判断を促す要因のひとつになっている可能性はある」
黒字リストラは構造改革の手段という趣旨である。国はどう受け止めているのだろうか。さすがに経済産業省も厚生労働省も、黒字リストラの適否に直接は言及していないが、経産省は20年に黒字リストラの増加傾向を示唆するような見解を述べている。
「事業環境の変化に対応し、持続的な成長を実現するためには、事業のライフサイクルを踏まえた事業ポートフォリオの組替えを機動的に行うことが求められる。経営資源の制約がある中で持続的な成長の土台を築くためには、自社の競争優位性が発揮される成長分野に経営資源を集中することが不可避と考えられる」
目下、ビジネスモデルの変革はこの方向で進んでいる。東京商工リサーチは「もう一段の人員構造の見直しの可能性もあり、2026年も早期・希望退職募集の大型化の流れが強まるとみられる」と見通しているが、黒字企業の社員も、雇用については常在戦場の心構えが欠かせない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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