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「半端な兼務でプロは育たない」MRを半年でデジタル人材に

武田薬品工業のジャパン ファーマ ビジネス ユニット(JPBU)が、2022年にデジタル機能の内製化を本格化した。さらに、MR(医薬情報担当者)などの日本ビジネス部門の社員を対象に、6カ月間の業務離脱を伴う「DD&Tアカデミー」を設け、選抜約30名をデジタル専門職として“社内転職”させた。医療現場の変化を踏まえ、ビジネスとデジタルの橋渡し役を短期間でどう養成したのか。同社JPBU データ・デジタル&テクノロジー部 デジタルアクセラレーション ヘッドの打川智子氏に聞いた。
(中略)
 ――その「ビジネスを知る人材のデジタル化」を実現するために立ち上げたのが、リスキリングプログラム「DD&Tアカデミー」ですね。
打川 私たちはこのプログラムを、単なるスキルアップ研修ではなく、「社内転職」と位置付けています。選抜された社員は現在の業務を離れて、6カ月間学習に専念してもらいました。研修終了後は元の部署に戻るのではなく、DD&T部のスペシャリストとして新たに配属されています。
 6カ月の業務離脱は、当社としても非常に大きな投資判断でした。しかし、同時に「中途半端な兼務ではプロフェッショナルなデジタル人材は育たない」という危機感があり、このようなリスキリングプログラムの実施に踏み切りました。
 対象となるのは、当社のビジネス部門に所属する全社員です。年齢や在籍年数、デジタルスキルの有無などは一切不問としました。
(Japan Innovation Review 1月21日)

 デジタル化が遅れているといわれている業界でもAI導入がはじまっている。たとえば介護サービス会社がケアマネジャーを対象に、ケアプランをAIで作成するツールを導入した。これまでは書類作成に膨大な時間を要していたが、その時間を大幅に削減でき、その分、利用者と向き合う時間が増えたという事例が報告されている。さらにAIで作成した書類に新たな視点を発見でき、ケアマネジメントの質向上につながっているという。
 いわばケアマネジャーがAI人材に転化しつつある。
 官民が連携したデジタル人材の輩出をめざす経済産業省は、デジタル人材育英体系の考え方について①情報処理技術者試験を中心に新しい人材育成体系を実現し、そのうえで民間学習サービスのさらなる発展の促進をめざす②人材育成は「ビジネス」「エンジニアリング」「デジタルリテラシー」の領域においてそれぞれ強化する③そのベースとして、つねに最新のデジタルスキル標準を示すべく、国はデジタルスキルの最新動向の把握に努める――と提言している。
武田薬品工業「DD&Tアカデミー」はデジタル人材の内製化を意図しているが、その狙いについて、同社データ・デジタル&テクノロジー部 デジタルアクセラレーション ヘッドの高橋俊春氏は、同社ホームページで次のように語っている。

「私たちが目指すのは、製薬業界やタケダでの勤務経験から豊富な知識と経験、人脈を併せ持つ優秀な自社人財を、デジタルに強く、デジタルを戦略的に活用できる人財としてリスキリング、アップスキリングすることで、ビジネスとデジタルの融合を果たすこと。これには、デジタル人財の内製化という側面もあります」
 ビジネスとデジタルの融合――これがキーワードである。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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