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日経225の役員報酬、変動報酬比率は約6割と年々拡大

HRガバナンス・リーダーズ(HRGL)は、日経225構成企業の役員報酬に関する調査を行った。報酬ミックス(ターゲット構成比)の平均値をみると、(短期インセンティブ(STI)+中長期インセンティブ(LTI))が55.9%に達した
業績評価指標として採用されている財務指標をみると、STIでは営業利益(89件)や当期純利益(84件)、売上高(52件)といった利益や収益に関連する指標の採用が多い。LTIではTSR(70件)とROE(66件)の採用がとくに多く、両指標とも年々採用件数が増加した。
業績評価指標として将来財務指標を採用する企業は年々増加しており、STIは98社(45.2%)、LTIは94社(43.9%)に達した。
STIの支給額決定に用いる業績評価指標として採用されている財務指標上位5種類は、営業利益(89件)や当期純利益(84件)、売上高(52件)など利益や収益に関連する指標の採用が多い。次いでROE(38件)やROIC(31件)など資本効率性指標が多く、ROICの採用割合は増加傾向にある。(HRガバナンス・リーダーズ作成ニュースリリースを要約 11月27日)

 役員報酬全体に占める基本報酬の割合が年々減少し、変動報酬比率が増加しているデータには、役員にリスクテイクを求めている傾向が顕著に反映されている。経済産業省が2025年4月に発表した「『稼ぐ力』の強化に向けたコーポレートガバナンスガイダンス」は、役員報酬の基本政策について経営戦略との連動を促している。
「役員報酬を有効に活用するために、経営戦略と連動した設計が考えられる。とくにインセンティブ報酬における、KPI(財務指標・非財務指標・個人評価等)や評価期間・評価方法を、どのように経営戦略と連動させるかについて検討することが考えられる」
この観点で調査結果をHRガバナンス・リーダーズはどう受け止めているのだろうか。
HRGLの内ヶ﨑茂代表取締役社長 CEOはこう述べている。
「業績評価指標については、LTI(中長期インセンティブ)において株主価値を示すTSR(株主総利回り)や資本効率性指標であるROEを採用し、資本市場の目線と経営者のインセンティブを整合させる動きが継続している。STI(短期インセンティブ)、LTIともに将来財務指標を採用する企業の割合も年々増加しており、サステナブルな企業価値向上のための指標を役員報酬と紐づける傾向も継続している」
 いずれ社員の報酬も同様に変動報酬の比率が高まってゆくだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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