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厚生相へ要望 介護分野の看護職員の処遇改善

日本看護協会会員73万人)は11月20日、上野賢一 郎厚生労働大臣と黒田秀郎老健局長に「介護分野における看護職員の処遇改善に関する要望書」を提出した。
介護分野の看護職員の確 保・定着が一層厳しさを増している。 2025年賃金引上げ等の実態調査では、医療・ 福祉分野の賃金改定率は全産業平均を大きく下回り、全産業並みの処遇改善が図られなければ、介護分野からの人材流出は避けられず、地域の医療・介護提供体制の 維持が困難になる恐れがある。訪問看護や介護施設・事業所では、看護職員の賃金の伸びが低い状況が続き、離職率も高い状況であることか ら、地域で必要な看護を確保するためには早急な対策が必要である。このような状況から、介護分野における看護職員の処遇改善を目的とした支援策を要望しました。
要望事項は①令和 7 年度補正予算において、物価高騰・賃金上昇に苦しむ訪問看護・看護小規模 多機能型居宅介護事業所・介護施設等で働く看護職員の処遇改善を目的とした支援策を講じられたい。②あわせて、令和 8 年度介護報酬改定にあたっては、介護職員等処遇改善加算の対 象について、特定の職種に限定せず、看護職員を含む介護分野で働くすべての職員 に拡大されたい。
(日本看護協会作成ニュースリリースを要約 11月27日)

11月21日に閣議決定した総合経済対策では、介護事業者の経営支援として介護職全般に月1万円の賃上げを6カ月間措置する。介護施設や訪問介護事業所などに勤務する看護職は対象に入っていない。
さらに日本看護協会によると、2024年度診療報酬改定で新設されたべースアップ評価料は、訪問看護事業所では医療保険分の割合で按分されるため、すべての訪問看護師の十分な処遇改善の原資にはならない。しかも介護保険における介護職員等処遇改善加算は、訪問看護及び居宅介護 支援事業所は対象外である。
厚生労働省の黒田秀郎老健局長に要望書を提出した日本看護協会の秋山智弥会長は「人々が適切に医療・介護を受けられる社会をまもり抜くためにも、介護 分野で働く看護職員の処遇改善は喫緊の課題だ」と訴えた。黒田氏は「補正予算では一時的な対応になるので、介護報酬改定に向け相談しながら対応していきたい。人材確保のために DX などのテクノロジーの力も借り、効率化を進めることも話していきたい」と応じた。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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