2025/11/27

上場企業の人的資本に関する情報開示が進み、経営と人材戦略の一体化が問われている。2025年4月にいすゞ自動車のCHRO(最高人事責任者)に就任した有沢正人氏は、金融や製造業での経験を踏まえ、戦略的人事の推進と社員のエンゲージメント向上に取り組む。有沢氏からみた日本企業における人的資本経営の課題とは。経営戦略と現場をつなぐ人事機能「HRBP(人事ビジネスパートナー)」の導入を進める同社で、有沢氏が描く人事戦略の方向性を聞いた。
――近年、日本企業でも人的資本経営の重要性が盛んに議論されるようになりました。この動きをどう見ていますか。
有沢正人氏(以下、敬称略) 進んだ企業もあれば、まだこれからという企業もある。二極化が進んでいる状況ではないでしょうか。
取り組みが進んでいる背景には、2022年に経済産業省が示した「人材版伊藤レポート2.0」や、金融庁が有価証券報告書、統合報告書での人的資本に関する情報の開示を義務付け、株主など企業のステークホルダーが人的資本について厳しい目を向け始めたことがあります。特に上場企業では、株主総会で「人的資本の改善、エンゲージメントはどうなっているか」という株主からの質問が増えているそうです。
(Japan Innovation Review 11月17日)
いすゞ自動車は人事の重点施策として「人財ポートフォリオ」「エンゲージメント」「基盤強化」の3領域に注力してゆく。
人財ポートフォリオでは、主体的なキャリア形成を可能にするため、公募制度を2025年4月に本格導入した。高位のプロフェッショナル層については本人の意志を前提に会社が適性を判断して選抜するが、将来の経営リーダー育成に向けてはサクセッ ションプランを整備中である。
エンゲージメントでは、30年にエンゲージメント肯定的回答率70%達成を指標に定めて、
24年4月に新人事制度のもとでエンゲージメントサーベイを開始した。25年3月期のサーベイ結果はエンゲージメント肯定的回答率が47%だった。 One on Oneミーティングの本格開始により、上司と部下との対話の満足度に改善がみられたが、グループリーダー層では、業務マネジメント対象の多様化や部下のキャリア育成などによる業務負荷の増大が課題に浮上した、
さらに基盤強化では、27年 3月31日までに①女性管理職比率を引き上げ、自動車業界の上位水準(4.7%目標 )にする②育児と仕事を両立する社員に対する理解促進のため、育児中の男性社員が育児休業を取得(100%目標)することに加えて、「安全と健康は事業活動の基盤」であると位置づけ、安全衛生活動を推進している。雇用形態や所属を問わず全従業員が安全・衛生意識を高め、全員でお互いの安全を守る活動を展開している。
こうした施策は、社員を資本とみなさないと発案されない。資本効率の向上を社員に当てはめる視点が必須である。
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