2025/11/07

セラミック製品や特殊金属製品を製造する日本ガイシが、「第三の創業」として2021年に「NGKグループビジョン」を打ち出し、2050年に向け中長期的に事業ポートフォリオの転換を図ろうとしている。
その中で同社は従来の人事制度を大きく刷新。「過去の貢献」から「未来の役割」への評価軸の転換、等級の複線化、ジョブディスクリプション(職務記述書)による職務の公開などに着手した。一連の人事制度改革の狙いとは何か。改革をリードした執行役員 人材統括部長の野崎正人氏に聞いた。
(中略)
――新たな人事制度では、昇給・昇格・賞与の評価の仕組みを大きく変えました。
野崎 人事制度の検討に当たって社員の声を拾ってみると、「実際の業務量に給料が見合っていない」「抜てきしてもらったけど給料は増えない」といった不満があることが分かりました。
また、人的資本経営方針に「挑戦」というキーワードを入れたものの、「過去の貢献が評価される仕組みでは、新たな挑戦に踏み出そうとは思わない」「評価されるのは短期成果のみだから、時間のかかるチャレンジがしにくい」といった声も聞かれました。
これらの声を受け、人事制度改革においては、評価の視点を「過去の貢献」から「未来の役割」へと変えることをコンセプトとして掲げました。
(Japan Innovation Review 10月24日)
日本ガイシは、カーボンニュートラルとデジタル社会を今後の成長分野と考え、これらの関連製品が2030年に売上高の50%、20年には80%を占めるように事業転換を進めてゆく。この転換の重要課題として「5つの変革」を設定した。
第一に、ESGを経営の中心と位置付ける。第二に、今後5年、ROIC(投資収益率)と成長軸のマネジメントをグループ内に浸透させ、新たな生産プロセスの革新活動に取り組む。第三に、研究開発費を今後10年で3000億円投入し、カーボンニュートラルとデジタル社会関連に注力するため80%を配分して取り組む。第四に、マーケティング力を向上させ、社外との協働も拡大し、モノを売るという視点を超えた価値提供への展開を図る。第五に、DX推進してゆく
これらの変革を実現するために、日本ガイシは、人事制度を変革した。評価の視点を「過去の貢献」から「未来の役割」へと変えるたけでなく、58歳での役職定年を廃止した。この変更により、60歳でのグループマネージャー就任や部長職復帰など、シニア人材が活躍できる機会を提供している。
退職するまで「旬の時期」を過ごせる人事制度の運用は、労働者の平均年齢が上がってゆく流れを踏まえれば、産業界全体のテーマだろう。
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