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女性行員が法人営業で活躍…4期連続最高益の山陰合同銀行

日本で人口最少地域の島根県、鳥取県を主なマザーマーケットとする山陰合同銀行が、4期連続で最高益を更新している。背景にあるのは、これまで他業務を担ってきた女性を中心とした行員を法人向けコンサルティング業務へ再配置する「配置転換」だ。組織をあげたリスキリングを行い、対象行員を法人向けコンサルティング担当者として戦力化した。全国でも異例の取り組みについて、代表取締役専務執行役員の吉岡佐和子氏に話を聞いた。
――山陰合同銀行では、総人員を増やすことなく「戦略分野」へ多数の人員を再配置してきたとのことですが、どのような取り組みなのでしょうか。
吉岡佐和子氏(以下、敬称略) 店舗ネットワーク再編、野村證券とのアライアンス、業務の合理化・効率化等により人員を捻出し、法人コンサルティング分野やデジタル分野等の戦略分野・エリアへ再配置しています。
(中略)
 当行内では構造改革が一気に進んだ時期、全国的には金融機関に求められるコンサルティングサービスの需要が一層高まっていました。こうした行内外の動きの中で、当行ではリスキリングによる人材育成に力を入れていきました。
(Japan Innovation Review 10月20日)

山陰合同銀行の「統合報告書2025」によると、2024年度からスタートさせた中期経営計画で、山陰を中心に強化してきた全員コンサル体制を営業エリア全域に展開することをめざしている。25年4月 時点で法人営業に携わる70%の人員を「法人コンサルタン」と認定し、2年前との対比で、 コンサルティング案件の成約件数は75件から128件へ増加 し、成約率は10%伸びた。
 今後の課題は、野村證券とのアライアンスの深化だという。そのひとつとして、従来の資産だけを対象とするアプローチから、負債に関する問題も踏まえたバランスシートアプローチを展開する。このアプローチは、同行によると、資産へのアプローチが得意な証券会社と負債からのアプローチが得意な銀行の両面から課題やニーズを引き出していくアプローチである。
 全員コンサル体制を展開する過程で、同行はエンゲージメントの強化にも取り組み、半年ごとに派遣社員やパートタイマーを含む全職員を対象に、無記名のエンゲージメント・サーベイを実施。職場ごとに課題を把握して対策を講じているが、その成果は、リンクアンドモチベーションが主宰する「ベストモチベーションカンパニーアワード」2年連続受賞という評価につながった。
 このアワードは、エンゲージメントスコアが上昇して顕著な改善がみられた企業を表彰する。エンゲージメントの強化は全員コンサル営業の展開を加速させているようだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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