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都の女性活躍推進条例骨子 労使団体から賛同の声

東京都は経済界や労働団体との公労使会議を14日に都庁で開き、女性活躍の推進や持続的な賃上げに向けた方策をめぐって協議した。雇用・就業面で女性の能力発揮を後押しする都の新たな条例づくりに対し、出席者からは賛同する声が相次いだ。各団体の意見も踏 まえ、具体的な条例案を策定する方針を確認した。
年度内の制定を目指す「女性の活躍に関する条例(仮称)」について、都は「性別に偏らない組織作り」「男女間格差の解消」などの骨子を説明した。東京商工会議所の小林健会頭は中小企業での取り組みの遅れを触れ「男女の別なく、全ての労働者が個性や能力を発揮できる社会づくりへ都と緊密に連携したい」と述べた。
賃上げをめぐり、人件費の上昇を価格に転嫁しにくい中小企業への配慮を求める声が上がった。都中小企業団体中央会の会津健会長は持続的な賃上げに向けて「都の支援策を中小企業に周知するよう努めてほしい」と訴えた。
連合中央の斉藤千秋会長は都が実施する補助制度の申請の簡略化を求めた。「中小・小規模事業者の稼ぐ力への支援をさらに強化してほしい」と強調した。
(日本経済新聞 10月15日)

東京都が発表した「女性の活躍に関する条例(仮称)」の 基本的な考え方は、「都の責務」として①事業者、経済体および都民に対し、女性が活躍できる環境整備に関する情報の提供、啓発、相談、助言などの施策を行なう②女性が活躍できる環境整備の推進に当たり、国および区市町村と相互に連携と協力を図るよう努める③都の職員が個性や能力を発揮して活躍できる環境整備に関し、率先して推進するとともに取組状況を公表する――などを盛り込んだ。
 さらに「事業者の責務」として、都が実施する施策への協力、性別に偏らない組織づくりの推進、就業者の男女間格差の解消、女性特有の健康課題への配慮などを示し、「優越的な関係を背景として女性の尊厳を傷つける行為をしてはならない」「就業者がそうした行為を行わないように、必要な措置を講ずるよう努める」と明記した。
 ここまでは一般的な内容だが、この条例案で着目したいのは「都民の責務」まで記載が及んだことだ。「雇用・就業分野で女性の選択肢を広げるには『女性は理系が苦手』など進路や職業選択に影響を与える性別による無意識の思い込みの解消を図ることが重要」「こうした思い込みは、幼少期から徐々に形成されることから、すべての都民の関心と理解を深めていくことが必要」と強調した。
 中学・高校時代にさかのぼって思い込みを解消しないと、職業選択にも影響をおよぼすという指摘だが、たしかにこの問題は都や企業ではなく、都民が意識しないといっこうに通弊を免れ得ない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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