2025/10/13
「航空自衛隊は3日、都内で開催した危機管理産業展で、民間企業を対象に退職自衛官を中途採用人材として売り込んだ。自衛隊で培う能力や専門知識が企業の危機管理部門で生かせると強調した。民間企業への再就職につなげ、定年が早い自衛官のセカンドキャリアを支える。
空自は戦闘機の運用から後方の補給などの任務内容を紹介。企業でもチームワークを発揮できるとアピールした。
特に災害発生時の事業継続計画(BCP)の策定へ危機管理能力が生かせると訴えた。有事の計画の作成にたずさわった経験がある空自パイロットは「常に最悪の場合を想定する自衛官の頭の使い方は企業でも使える」と話す。
元航空総隊副司令官の上ノ谷寛氏は講演で空自の安全管理の取り組みを説明した。事故につながりかねない「ヒヤリハット」を共有し大事故を防いできたと話した。危険な行動の分析と将来予測は企業で役立つと説明した。
自衛官の定年は民間より早い。最高幹部らを除く多くの隊員の定年は55〜58歳で、再就職先の確保が欠かせない。
早期退職に伴う生活不安が人材難を助長するとの見方がある。政府は2024年に策定した自衛官の処遇改善に関する基本方針で、再就職への不安を払拭する重要性を示した。
(日本経済新聞 10月4日)
内閣官房と防衛省がさる9月26日公表した自衛隊管理職隊員の2024年度分の再就職状況をみると、再就職の件数は166件だった。
再就職先の区分は、営利法人が 109 件 (65.7%)、その他の非営利法人が24件(14.5%)、国又は地方公共団体の 機関が16件(9.6%)、一般社団法人または一般財団法人が7件(4.2%)、学校法人、社会福祉法人または更生保護法人が3件( 1.8%)、自営業が3件(1.8%)、 独立行政法人が1件(0.6%)、特殊法人が1件(0.6%)、公益社団法人または 公益財団法人が1件(0.6%)など。
どんな業種のどんな業務に就いたのだろうか、一例を挙げる。金属製家具製造業(営業職)、航空機器部品等の販売・メンテナンス業(総務部次長)、港湾運送業(船舶管理事務)、プラント及び機械器具の販売(防衛担当シニ アアドバイザ ー)、不動産賃貸仲介サービス業(一般事務職)、航空運送事業、航空機整備業(企画・計画業務職)、輸送用機械器具卸売業、電気 機械器具卸売業(営業職)など。
防衛大学OBによると「昔のように防衛関連企業に次々に再就職できる時代ではなくなった」という。
海上自衛隊は公式サイトに「定年制自衛官の退職者は53歳~56歳の働き盛りでリーダーシップを身につけた者が多くいます。規律正しく、礼儀正しく、士気が旺盛です」とアピールをしている。先のOBも「定年まで自衛隊に勤務した人は士気が高く、使命感も高いので、再就職先で力を発揮する人が多い」と話す。
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