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属人化スキルの6割が50代以上 管理職の74.5%がベテラン退職を「経営リスク」

AIを活用した業務改善コンサルティングやシステム開発を提供するtaiziii(タイジー/東京都渋谷区)は、一般企業の管理職200名を対象に、「企業の属人化・技術承継に関する実態調査」を実施した。
調査の結果、属人化しているスキルやノウハウの60.28%が「50代以上」の社員に集中していることが判明。さらに、管理職の74.5%が、ベテラン社員の退職によるスキル損失を「経営上のリスク」として認識している実態が明らかになった。多くの企業が事業継続を脅かす“時限爆弾”を抱えながら、具体的な対策を打てずにいる現状が浮き彫りとなっている。
属人化しているスキルやノウハウは、60.28%が「50代以上」の社員に集中しており、特定のベテラン層への依存構造が顕著になった。管理職の74.5%が、ベテラン社員(50代以上)の退職によるスキル損失を「経営リスク」と認識(「非常に大きなリスク」29.0%、「ある程度リスク」45.5%)。
「非常に大きなリスク」と感じている管理職も約3割に上り、問題の深刻さがうかがえる。
この結果は、多くの企業が大量退職時代を目前に控え、貴重な知的資産が失われることへの強い危機感を抱いていることを示唆している
(taiziii作成ニュースリリースを要約 9月16日)

 定年退職によってスキルが伝承されず、職場の戦力が低下してしまう問題はひと昔前から懸念されていた。たとえ業務マニュアルを作成しても、暗黙知をすべて言語化して再現性を担保することは至難である。
ことに取引先との人間関係は長年の信頼関係がベースであるだけに、コミュニケーションの取り方をマニュアルに記載されたとおりに実行しても、前任者が築いた人間関係の時間を容易に短縮できるわけではない。やはりOJTが必要なのである。
Taiziiiは「多くの企業が『リスクは分かっているが、有効な対策を打てていない』というジレンマに陥っている。その背景には、定年を控えた多忙なベテラン社員に、引き継ぎ資料の作成や長時間のOJTといった負担を強いることへのためらいがある」と推察する。
 そのうえで「従来の手法では、本当に重要な“勘所”まで継承するのは困難。この時限爆弾を安全に解除するには、教える側の負担を最小限に抑え、かつ確実性の高い新しい技術承継のアプローチが不可欠である」と提言する。
 この課題をAIでどこまでカバーできるのだろうか。意外に早くカバーできるようになるかもしれない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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