2025/09/22
外国人労働者を育て、国内で長く働いてもらうための新たな制度「育成就労」について、政府は17日、職場を変える転籍ができるまでの就労期間の案を公表した。17分野のうち建設や外食業など8分野は、ほかより長い「2年」とされた。
有識者会議での議論を経て年内に閣議決定されるが、国内の労働法制と矛盾し、外国人労働者の権利が十分守られないとの指摘もある。育成就労制度は、技能実習制度に代わる制度として設けられ、2027年4月から始まる。
技能実習制度では、原則3年働かないと別の職場に移ることができず、外国人労働者が劣悪な労働環境から失踪する例が相次いだ。 このため育成就労制度では、暴力やハラスメントなど「やむを得ない事情」がある場合は転籍できるとされたほか、一定の条件を満たせば本人の希望でも転籍可能となった。
政府は17日の有識者会議で、介護▽工業製品製造業▽建設▽造船・舶用工業▽自動車整備▽飲食料品製造業▽外食業▽資源循環――の8分野について、本人希望で転籍できるまでの就労期間を2年とする案を示した。技能の習得に一定の期間が必要などと判断したという。企業側は、2年目以降は昇給させるなど待遇を見直す必要がある。
(朝日新聞 9月17日)
育成就労の受け入れ数は、外国人政策の対象としてスポットは当てられていないようだ。
さる7月15日、外国人政策の司令塔として内閣官房に「外国人との秩序ある共生社会推進室」が設置された。石破茂首相は発会式で「出入国在留管理の一層の適正化、外国人の社会保険料等の未納付防止、外国人による土地等の取得を含む国土の適切な利用・管理など、取り組むべき課題は多々存在している」と指摘したうえで、職員にこう呼びかけた。
「これらの課題に的確に対処するため、省庁の枠を超えて緊密に連携し、外国人の懸念すべき活動に対する実態把握、関係機関のより緊密な連携を可能とするための国・自治体における情報基盤の整備、各種制度・運用の点検・見直しなどに取り組んでいただきたい」
政府は「我が国が目指すべき外国人との共生社会の三つのビジョン」として①安全・安心な社会②多様性に富んだ活力ある社会③個人の尊厳と人権を尊重した社会――を掲げ、ビジョンを実現するための課題に「 円滑なコミュニケーションと社会参加のための日本語教育等の取組」「外国人に対する情報発信・外国人向けの相談体制の強化」「ライフステージ・ライフサイクルに応じた支援」「共生社会の基盤整備に向けた取組」を示した。
外国人問題は、定住者、旅行者、投資家など区分ごとに問題点を洗い出し、対策を講ずることが常道だが、たとえば外国人マネーが集めれば資産市場は活性化する一方で、不動産価格が高騰するという現下の問題が噴出する。
賛否が渦巻く政策課題だが、外国人の区分ごとに総量規制が議論されないと解消には至らない。
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