2025/09/17
2025年度の最低賃金改定で、39道府県が国の審議会が示した目安を超える引き上げに踏み切った。
隣県や都市部との人材獲得競争を意識し、引き上げ競争が過熱している。ただ、中小零細企業にとって最低賃金の急上昇は経営の圧迫要因。賃上げの原資が確保できなければ、持続的な引き上げは望めない。
24年度は全国最下位だった秋田。25年度改定で目安から16円の上乗せを決めた。地方審議会の臼木智昭会長は「単独最下位を脱出できるのかという周囲の期待が高かった」と明かした。四国地方の審議会委員も「隣県との順位も多少気にした」と話す。人口流出に悩む地方部を中心に、目安を大幅に超える引き上げが目立った。
一方、使用者側は企業の支払い能力を超える大幅上げだと反発を強める。群馬の使用者側委員は「現行の決定プロセスは最低賃金法に基づくものとは到底考えられない」と不満を訴えた。岩手や佐賀などでは、使用者側委員が採決時に退席した。
労働経済に詳しい法政大の山田久教授は日本の最低賃金は「国際的な水準から見て、まだ不十分だ」との見方を示す一方、「引き上げペースが速過ぎると設備投資の抑制などの副作用が増える」と指摘した。
(時事通信 9月6日)
厚生労働省は令和7年度地方最低賃金審議会の答申のポイントを①47都道府県で63円~82円の引上げが実施された②改定額の全国加重平均額は1121円(昨年度1055円)③全国加重平均額66円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額④最高額(1226円)に対する最低額(1023円)の比率は83.4%(昨年度は81.8%。この比率は11年連続の改善)――と整理した。
最低賃金は、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金 額以上の賃金を支払わなければならない制度である。かりに労働者と使用者双方の合意のうえで最低賃金額より低い賃金を定めても、法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされる。 最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額 との差額を支払わなくてはならない。
地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に50万円以下の罰金)が定められ、特定(産業別)最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、労働基準法に30万円以下の罰金が定められている。
中小企業にとっては人件費増が懸念されるが、国の思惑は、最低賃金をクリヤできない企業は他社と統合して大規模化を図るか、それとも廃業するか。産業界の再編にありそうだ。
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