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介護離職の防止支援 山梨中銀など4社、共同事業開始

山梨中央銀行は1日、企業の従業員の介護離職を防ぐため、介護しながら働く「ビジネスケアラー」の支援事業を県内企業など3社と共同で始めると発表した。4社がノウハウを持ち寄り、仕事と介護の両立に向けた研修や個別相談などのサービスを提供する。少子高齢化による労働力不足という地域の社会課題解決の一助にする。
4社のうちIT企業のウェルフェア(甲府市)が支援サービスの提供主体となり、山梨中銀が介護離職防止が必要な取引先を橋渡しする。家族介護者支援のメディトリーナ(同)が支援に関する知見を提供し、グッドウェイ(東京・中央)が戦略立案や情報発信を担う。
提供するのは従業員の介護実態調査、セミナーや研修の企画運営、相談体制づくり、介護離職防止につながるデジタルトランスフォーメーション(DX)の支援など。専門家チームによる伴走型の支援サービスで、顧客企業からは月々の報酬を受け取る。
当初は県内企業や団体を対象に事業を展開する。ウェルフェアはサービス開始に伴い、仕事と介護の両立に関する実態調査などを無償で実施するモニター企業を募集している。

(日本経済新聞 9月2日)

 介護離職をいかにして回避するかという取り組みが官民で進む一方で、介護保険事業の中心的な政策課題は「在宅復帰」「在宅支援」にシフトし、まずます在宅路線は強化されてゆく。
厚生労働省は全国の中学校区単位を基本エリアに定め、エリア内で医療介護サービスを完結させる地域包括ケアシステムを進めている。地域包括システムの定義は「重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されるシステム」である。
「一体的に提供されるシステム」とは、医療・介護・福祉事業者のネットワークを強化して、「ときどき入院、ほぼ在宅」という在宅療養の限界を高める連携体制である。
13年に発表された社会保障制度改革国民会議の報告書は、医療提供体制について「『病院完結型』から、地域全体で治し、支える『地域完結型』に変わらざるを得ない」と述べて、地域包括ケアシステムの構築を後押しした。
しかし在宅療養を可能な限り継続するには、訪問介護サービス体制の強化が前提だが、介護報酬の引き下げで訪問介護サービス事業所の閉鎖や倒産が増加している。その影響は家族の負担増に直結し、介護離職を促しかねない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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