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「AI社長」、気軽に相談を トップ目線で助言 三井住友FG

三井住友フィナンシャルグループ(FG)は5日、中島達社長の発言を学習させた生成AI(人工知能)「AI―CEO」を7月から本格導入したと発表した。
 傘下の三井住友銀行の国内行員約3万人を対象に、業務上の相談などで気軽に活用してもらい、AIの全社的な浸透を図る。  
AI―CEOは、米オープンAIのモデルを使い、経営会議など社内外での中島氏の発言を1年分以上学習させた。チャット上で質問すると、中島氏らしい回答を得られるほか、企画や提案も経営者目線でブラッシュアップしてくれる。  
音声でやりとりできる中島氏のアバター(分身)も開発中で、イベントなどで活用する。銀行員の知見やスキルを取り込んだ「AI上司」も今年度中に試行し、より幅広く業務に役立ててもらいたい考えだ。
(時事通信 8月7日)

「AI―CEO」は中小企業にこそふさわしいツールではないだろうか。多くの中小企業が事業承継に難渋している理由のひとつに、社長の在籍年数が長期間におよんでいるため、ノウハウと人脈が社長に一元的に集中し、その役割が余人をもって代え難くなってしまっているのだ。
AI―CEOを導入すれば、社長の思考方法とノウハウは再現できるかもしれない。中小企業でなくとも、なかなか後継社長が決まらない大物社長もAI―CEOによって、ノウハウを継承できるようになるだろう。三井住友フィナンシャルグループも、副次的な効果としてAI-CEOとの対話を通じた役職員への高い経営的視座の提供を考えている。
AI-CEOは AI チャットボット形式で役職員への展開を開始しているが、役職員のフィードバックを踏まえ、三井住友フィナンシャルグループは、投入データや各種機能の追加、AI の自律的成長の仕組みを設計し、継続的に役職員のパートナーとしての役割追求を図って、業務上で AI を利用するシーンを拡大する。
 ただ、AI-CEOは社長のカリスマ性も学習して発揮できるのだろうか。それがかなえば心強いのだが――。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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