2025/08/07
日立製作所は管理職を対象とする新たな株式報酬制度を2026年度に導入する。勤続期間などに応じて自社株式を付与する。海外のテック大手では一般的な制度で、ソニーグループも導入している。管理職の経営関与の意識を高める狙いに加え、人材獲得競争の激化を見据え、米欧企業と同じような報酬制度を設ける機運が高まっている。
導入するのは「譲渡制限付き株式ユニット(RSU)」と呼ばれる仕組み。職位などに基づき社員にポイント(ユニット)を割り当て、勤続年数など一定の条件を満たした場合にポイントに応じた株式を付与する。
自社の株式を使った報酬制度としては、ストックオプション(株式購入権)を導入する日本企業は多い。購入価格が決められており、株価が下がれば権利を行使しても利益が出ない。一方、RSUは無償で付与されるため、株価が下がっても一定の利益は得られる。在職期間などの条件を満たさないと取得ができず、同じ企業で働き続ける動機もつくりやすい。
日立は取締役や執行役、一部のグループ会社役員に導入済みだったRSUについて本部長や事業部長クラス、子会社や関連会社の社長や役員も対象とする。
(日本経済新聞 7月26日)
社員に自社株を付与する企業が増えそうだ。
丸一鋼管は子会社を含む従業員635人に譲渡制限付株式を付与したが、付与額の1人平均約870万円は、2024年3月期の平均年収694万円を上回った。60歳の定年までの譲渡制限があるが、在籍している間は配当と株主優待を受け取ることが可能。自己都合の退職時には無償で会社に返却する規定だ。
岡三証券は25年4月に導入した新人事制度で、役割や成果に応じた報酬体系「Pay for Job, Pay for Performance」の推進に向けて、従業員に業績連動型譲渡制限付株式報酬制度を導入する。付与額は年間一人当たり最大100万円相当。あらかじめ定められた期間(5年間)、 割当てを受けた株式の譲渡および担保権の設定などの処分をしてはらなかいことや、一定の事由が生じた場合には会社が株式を無償で取得することが条件に設けられた。
TSIホールディングスじゃ25年度にグループの従業員(国内グループ全社、正社員および嘱託契約社員含む)を対象に、譲渡制限付株式の付与を導入する。条件として、一定の業績目標を達成したことを条件とすることを想定している。
物価高に賃上げが追いつかず、実質賃金が下がっている時勢にあって、自社株の付与は従業員の資産形成に有効な手段だろう。
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