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人事院、4年連続の増額勧告へ 国家公務員給与、比較対象見直し

人事院が2025年度の国家公務員の給与改定で、4年連続となる月給とボーナスの増額を勧告する方向で検討していることが23日、分かった。民間企業に見劣りしない給与水準を目指すのが狙いで、改定の際に比較する企業の規模も見直し、対象を現在の従業員50人以上から100人以上に引き上げる方針。政策の企画立案を担う本省職員は千人以上の企業と比べる。
 人事院は毎年、民間給与を調査し、国家公務員の給与やボーナスの水準が民間と釣り合うように勧告する。一般的に企業規模が大きいほど給与は高く、公務員の厚遇批判を受けて06年度に調査対象を従業員100人以上から引き下げた。  
その後、民間との給与水準格差や長時間労働を背景に公務員試験の志願者減が続いており、人事院の人事行政諮問会議は今年3月に公表した提言で「25年度をめどに少なくとも100人以上に戻す必要がある」と明記。人事院は25年度改定に向け4月から従来通り50人以上の企業を対象に調査を始めたが、100人以上の企業のデータを抽出して改定作業を進める。
(共同通信 7月23日)

 人事院は「人事行政諮問会議最終提言」を受けて、「国家公務員の人材確保は危機的な状況」と訴えている。まず採用試験申込者数の減少が著しく、10年前に比べて、総合職試験と一般職試験のいずれも 約3割減少した。さらに若年層職員の離職が増大し、直近では、総合職試験採用者が200人超離職している。
 この窮状を踏まえて、人事院は施策として、官民給与比較手法の見直しを提示した。
現在50人以上とされている官民給与の比較対象となる企業規模について、少なくとも従来の100人以上に戻すべきである。とくに政策の企画立案や高度な調整等に関わる本府省職員については、業務の困難性や特殊性、採用において競合する企業規模などを詳細に分析・評価し、それらの職務と類似する職責を担う民間企業の職種・職位を特定し より実質的な比較が可能となる手法を構築すべきで、少なくとも 1000人以上の企業と比較すべきである――そう主張している。
 1000人以上の企業といっても、業種によって給与水準には差がある。帝国データバンクによると、東証プライム上場企業の平均年収は2023年度に735万7000円だったが、この水準をひとつの参考データにしているのだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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