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都内企業の夏季賞与、平均妥結額は86.2万円 前年比2.79%増

 東京都が都内の1000労働組合を対象に実施した夏季一時金要求・妥結状況の調査最終集計結果を発表した、
すでに妥結した労働組合のうち、前年妥結額と比較可能な378組合の平均妥結額は86万2635円で、平均賃金(33万9183円・40.9歳)の2.54か月分に相当する。同一労組の前年妥結額(83万9202円)との比較では、2万3433円増加(2.79%増)となった。
産業別・業種別妥結金額の分析対象(5組合以上)となった27業種のうち、対前年比が最も高かったのは、「学術研究、専門・技術サービス業」(17.09%増)、以下「建設業」(15.11%増)、「宿泊業、飲食サービス業」(11.31%増)。一方、対前年比が最も低かったのは、「私鉄・バス」(12.24%減)、続いて「鉄鋼業」(6.06%減)、「繊維、衣服」(2.04%)減となった。
要求を提出した労働組合のうち、前年要求額と比較可能な411組合の平均要求額は91万9103円だった。同一労組の前年要求額(88万2508円)との比較では、3万6595円増加(4.15%増)となった。
(東京都ニュースリリースを要約 7月22日)

 夏の賞与額を概観すると、いまさらながら大手企業と中小企業の格差が顕著である。
経団連が発表した「2025年夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況」の第1回集計結果(対象・従業員500人以上の107社)によると、今夏の賞与の平均額は前年比4.37%増の99万848円。業種別では製造業が103万5889円(4.49%増)、非製造業が85万7602円(3.76%増)だった。
業種別では18業種にうち13業種が前年比プラスで、大きく増えたのは化学である。28.99%増の105万414円だった。非鉄・金属(90万9071円)、造船(118万4644円)も10%を超える伸びを記録した一方で、紙・バルブ、鉄鋼、自動車、運輸、情報通信の5業種は前年比マイナスだった。
中小企業の賞与水準はどうだろうか。東和銀行が、群馬県・埼玉県・東京都・栃木県の228社(1~30人が61.4%、 30人超が38.6%)を対象に支給見通しを調べたところ、増額率の平均は前年比2.8%(1万53円)と大手企業より低く、平均支給額は格段に低く36万7346円だった。
さらに支給しないとの回答は21.7%となり、昨年夏の20.6%から1.1ポイント増加した。この層にスポットを当てて、物価高対策や消費税問題を検討してほしいものだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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