2025/07/29
転職といえば若い人がするものというイメージが一般的だったが、ここにきて中高年の転職が際立っている。なかでも顕著なのが50代だ。人生100年時代を見据え、次のステージへと進む人が増えているのだろうか。その背景と成功のカギを探った。
まず中高年の転職はどのくらい増えているのだろうか。リクルートグループの転職支援サービス「リクルートエージェント」によると、2024年までの10年間で同社に登録した転職者の総数は約3倍に増加した。40代と50代の合計は約6倍で、50代に限ると12倍にもなる。
その背景として、法政大学キャリアデザイン学部の田中耕之輔教授は、大企業による早期退職制度、人生100年時代を前提にチャレンジを考える人が増えたこと、企業側が50代を即戦力になる専門職として求めるようになったことを挙げる。
求められている人材の多くは専門性がある管理職だ。経営企画、人事など分野問わず、マネジメントでチームの成果を上げられる人に企業の注目が集まる。「お試し採用」ではなく、転職先で実際に活躍するケースが増えているそうだ。
(日本経済新聞 7月17日)
なぜ50代に入ってもなお転職するのだろうか。エン・ジャパンの調査でも、2024年の転職者数が18年比で約2.5倍と増えたなかで、世代別では50代の伸びが最も大きく5.3倍だった。
50代はもうキャリアアップを志向する年代ではなく、現役時代のゴールも視野に入っているはずだ。
リクルートエージェントによると、50代の転職理由は多い順に「給与が低かった」(16.4%)、「会社の経営方針・経営状況が変化した」(10.9%)、「労働時間・環境が不満だった」(10.9%)、「雇用形態に満足できなかった」(10.9%)、「上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった」(10.9%)。
キャリアアップではなく、不満がうっ積した挙句の転職が多いようだ。最も多い転職理由である給与は、転職によって解決しているのか。エン・ジャパンによると、50代の転職後の年収は22年まで「(10万円以上の)減少」が過半を占めたが、23年に半数以下になった。
売り手市場は50代でもつづいているようにも見えるが、転職で給与を上げるためには、管理職として実績を築いてきたか、もしくは高度な専門スキルを保有しているかが決め手だ。凡庸では給与が下がることを覚悟しなければならないだろう。
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