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日本通運が300人の希望退職を募集、55歳以上の事務系3000人対象

NIPPON EXPRESSホールディングス(NXHD)は18日、子会社の日本通運で300人程度の希望退職者を募集すると発表した。管理職を含む55歳以上の事務系社員約3000人が対象で、経営環境の変化などに対応するためと説明している。
 募集期間は8月18~29日で、退職日は9月30日となる。退職者には、定年扱いの退職金に加え、退職加算金を支給する。転職支援も行うとしている。日通による希望退職者の募集は2013年以来となる。
 NXHDは、24年12月期連結決算が2期連続の最終減益となった。25年12月期は増収増益を見込んでおり、経営の効率化を進める。
(読売新聞オンライン 7月18日)

 日本通運の人事方針は「NXグループ 統合報告書2025」に開示されている。「中長期の環境変化を捉えた重要課題」のひとつに「イノベーションを生む人財力の向上」として、「自社事業の価値の源泉である従業員に対して投資することで、従業員のWell-Beingの追求、エンゲージメント向上、多 様な人財の能力発揮を促し、価値創出の基盤を強固にする」と書かれている。
 この課題のリスクは「高い専門性を有する人財の維持・獲得リスク」「現場での人手不足による競争力低下」という。
今回の希望退職の募集も「イノベーションを生む人財力の向上」に沿った措置なのだろうが、募集の目的について、日本通運は「組織の活性化を図り、激変する経営環境や経営課題に迅速に対応すること」と述べている。
55歳以上の事務系社員は、この目的の達成にマイナスであることを示唆しているが、リリースによると、ライフステージに合わせたセカンドキャリア支援が希望退職募集のおもな趣旨であるという。55歳以上の事務系社員はこのまま在籍しつづけても展望がないので、社外で活路を見出したほうがよい――そう伝えたいのだが、リリースではきれいごとにまとめるしかない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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