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大東建託、がん診断なら百万円 治療と業務の両立を支援

賃貸住宅建設大手の大東建託が、がんと診断された社員に一律100万円を支給する制度を8月から導入することが15日、分かった。社員の経済的な不安を和らげ、治療と業務の両立を支援する狙いだ。団体で加入するがん保険を活用するのが特徴で、会社が保険料を負担する。がん診断時に企業が社員に金銭を支給する制度は珍しい。
 両立支援を企業の努力義務とすることが6月に決まった。休暇制度やオフィス以外で働くテレワーク、始業・終業の時間を自由に決められるフレックスタイムといった対策が広がり、厚生労働省の担当者は「がん治療を受けながら働くことは当たり前になりつつある」と指摘する。
大東建託の両立支援策では、社員に支給する100万円は保険会社が保険金として支払う。がんの診断から2年が経過すれば、再発や転移での入院治療に対して再度100万円を支給する。4月にはがん治療のために年7日間、1時間単位から取得できる有給休暇も新設した。治療に伴う休職も24カ月に延長し、平均治療期間とされる18.7カ月をカバーする。
(共同通信 7月15日)

厚生労働省は、がんや脳卒中の治療と仕事の両立をサポートするために「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」を作成し、治療と仕事の両立支援を行なうための環境整備、両立支援の進め方、特殊な場合の対応などを手ほどきしている。
ただ、働く当事者にとっては国の指針よりも職場の支援体制に直接、影響を受ける。その意味で大東建託の両立支援策はインパクトが大きい。
同社は2018年に「大東建託健康宣言」を制定し、①一人ひとりが健康を自分事として捉え、活き活きと長く働ける職場環境の構築を目指します②人生を託すことが出来る企業の実現に向けて「健康」と「幸福」を追求していきます③Well-beingを経営戦略として取り組み、心身共に健康で活気に溢れる持続可能な企業を目指します――と宣言した。この宣言以降、「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」に認定されたので、成果を上げたのだろう。
竹内啓社長は同社のホームページにこう書いている。
「私自身、若い時には健康を意識せずに長時間働き睡眠時間を削っていた時期もあります。 しかし、医者からこのままでは60歳を迎えられませんよと言われたのを機に、今は健康あってこそ、こうして仕事ができるのだということを意識するようになりました。最近は毎日ウォーキングをして、日々の体調の変化を確認してから出社することがルーチンとなっています」
 従業員の健康対策は経営トップの考え方が次第といっても過言でない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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