2025/07/24
ミシンメーカー JUKIが、以前から取り組んできたコスト構造改革の総仕上げとして、「ネクストキャリアプログラム」による人員削減を発表した。募集受付期間は8月1日から8日までで、退職日は9月30日を予定している。
同プログラムは、トランプ関税、長期化する中国経済の低迷、原油高、不安定な為替など不透明な情勢を背景とした厳しい事業環境の継続を予想して実施。実施に伴い新中期計画で策定した事業方針に基づく人的リソースの最適配置および規模の適正化を図る。
対象は、JUKI、JUKIプロサーブ、JUKI販売、JUKIオートメーションシステムズの満50歳以上65歳未満の多摩本社および大田原勤務の正社員で、応募人数の想定は明らかにしていない。退職者に対する優遇条件として、退職金支給規定に基づいた退職金および特別加算金の支給や、希望者に対する再就職支援サービスの提供を提示している。
同社は、今回の募集に伴い発生する特別退職金および再就職支援費用を2025年12月期連結決算で特別損失に計上する予定。業績に与える影響は軽微と予想している。
(FASHIONNAP 7月15日)
JUKIが5月13日に発表した2025年12月期第1四半期決算で、事業環境について「米国 のトランプ政権による関税政策など、更に先行き不透明な状況となっている」と指摘していた。売上高は229億5700万円(対前年同期比1.2%減)、営業損失は3億3200万円(前年同期は1億4500万円の損失)だった。
同社は2025年を最終年とする中期経営計画で、3つの構造改革を示していた。付加価値構造改革、コスト構造改革、行動改革の3つで、早期退職募集を総仕上げとするコスト構造改革は、事業環境変化を踏まえたコスト構造の見直しとして「生産/物流/調達網の再構築」「拠点機能の統合、管理部門の効率化」の着手によって、22年から25年にかけて39億円のコスト削減を実現させる計画だった。
その総仕上げが早期退職募集だが、総仕上げと計画していても、人員削減を中期経営計画に明記するわけにはいかない。人員削減の発表は早くとも募集の数カ月前に行なうのが通例である。
それにしても「ネクストキャリアプログラム」とは言い得て妙である。確かに早期退職以降のキャリアは「ネクストキャリア」だが、自分で切り開く以外にない。
同社は29年までの中期経営計画では、最初の3カ年(25~27年)で成長分野へのシフトを進め、 新たなビジネスモデルを構築、残りの2カ年(27~29年)で育てたビジネスモデルをさらに深化するという。
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