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副業・兼業は働き手の3%どまり 労働時間管理の壁、26年法改正へ

副業・兼業をしている労働者が全体の3%にとどまることが厚生労働省の2024年の調査で分かった。他社での副業・兼業を認める企業は4分の1だった。政府は労働時間を細かく管理するルールが妨げになっているとみて、2026年にも関連法の改正案を国会に提出できるよう検討を進める。
調査結果は政府の規制改革推進会議で報告した。有効回収数は事業所が4921、個人が5505で、有効回答率はそれぞれ48.4%、30.9%だった。
事業所のうち、他社で雇用される副業・兼業を認めているとの回答は24.7%だった。フリーランスなど非雇用で認めているのは13.2%だった。認めていないが25.7%、把握していないが20.1%だった。
個人で副業・兼業しているのは子会社など本業の関連会社0.7%、それ以外で2.3%にとどまった。副業・兼業していないとの回答は96.4%だった。
規制改革推進会議では副業・兼業が進まないハードルとして労働基準法が定める労働時間の通算を指摘する声が相次ぐ。企業は複数の職場で働く人について労働時間を通算し、1日8時間・週40時間を超えると割増賃金を払う必要がある。
(日本経済新聞 7月4日)

規制改革推進会議は、さる5月にとりまとめた答申で「副業・兼業の更なる円滑化に向けた環境整備」と題して、副業・兼業の意義に言及した。
「副業・兼業は、労働者にとっては主体的なキャリア形成につながる意義があり、送り出し企業にとっては社内では得られないスキルの獲得、受入れ企 業にとっては人材確保の選択肢拡大といったメリットがあるほか、社会全体においても、人材不足問題への貢献や労働移動を通じた良質な雇用の確保・ 生産性の向上に資することが期待される」
 副業・兼業を推奨している。それだけでなく規制改革推進会議は、副業・兼業が抑制されている現状を問題視して、環境の整備を提言している。
「副業をしていない正社員のうち、副業の意向がある者は 40%程度存在しているものの、現実に副業を行っている者は7%程度にとどまっているとの民間企業の調査結果もあり、副業・兼業の更なる円滑化に向けた環境整備に取り組む必要がある」
 実質賃金が下がっているなかで、トランプ関税による業績低下で賃金が抑制されれば、副業・兼業によって収入を補いたい人は増えるだろう。本業ではなく個人の裁量で働くのだから、労働時間へのカウントを見直したい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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