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看護師のベースアップ、2012年調査から基本給の増加は6000円

 日本看護協会は、2024年時点の看護職 員の評価・処遇の現状や改善状況を把握するとともに、看護職員の確保・定着に必要な 賃金や処遇、およびキャリアアップに伴う処遇改善を推進していくための課題、方策を 明確化することを目的として「看護職員の賃金に関する実態調査」を実施した。
 2012年の調査と比較すると、病院勤務のフルタイム正規雇用・非管理職の看護師の基本給は6000円の増加で、上がり 幅は約2.3%にとどまった。税込給与総額および新卒看護師(3年課程卒)の初任給(基本給月額)はそれぞれ約8%の増加だった。
病院勤務者の2012年賃金調査における年齢による基本給月額の上昇率は、20 代前半を 100%とした場合、50代前半で145%だったが、ピークとなる40代後半 29万7,249円と比較しても、134%の上昇率にとどまった。
さらに病院において、新卒、正規雇用職員とも賃金額が低いほうが離職率は高い傾向にあった。夜勤手当額はこの10年間で、2交代で約1,000円、3交代で約500円のみの増加にとどまった。
(日本看護経協会作成ニュースリリースを要約 6月24日)

日本看護協会が6月24日に開いた記者会見で、秋山智弥会長は「診療報酬改定でベースアップ評価料や看護職員処遇改善評価料が新たに設けられたが、それでも看護職の賃上げ率は他産業の5%に遅れを取っている。賃金の低さを理由に看護職が他産業に流出することは防がなければならない」と強調した。
現場の看護師も現行の賃金水準に不満を抱いているようだ。賃金に対する全体的な満足度について、2012年賃金調査では「満足」「やや満足」が 25.5%であったのに対して、今回調査の同割合は11.8%と減少した。13年前も約75%の看護師が賃金水準に不満で、この問題は近年の賃上げラッシュで発生したわけではない。
一方、明るい材料として「経済財政運営と改革の基本方針2025」(骨太方針2025)に、「医療・介護・障害福祉の処遇改善について、過去の報酬改定等における取組の効果を把握・検証し、2025年末までに結論が得られるよう検討する」と記載されたことが挙げられよう。秋山氏は「一定の評価をしたい」と述べたうえで「改革の実効性が担保されるように働きかけていきたい」と付言した。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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