2025/07/09
人手不足が深刻な介護事業。なかでも訪問介護は事業者の倒産も多く、利用者からは悲痛な声が上がっています。
2024年度の介護事業者の倒産は179件と過去最多で、そのうちの半数近くを訪問介護が占めています。
脳性まひによる重度の障害がある女性は去年、契約していた事業所が閉鎖され、3カ月以上ヘルパーによる訪問介護が受けられませんでした。同居する母親に負担をかけるしかなかったといいます。 「80代の母が倒れそうになって」「(ヘルパーのケアを)受けられなくなるのはとても困るし、死ねと言っているのと同じです」(深田夏美さん)
4月から外国人ヘルパーの採用条件が拡大しました。しかし介護報酬引き下げなどの影響もあり、ヘルパー不足はさらに深刻化する可能性もあります。 「どこも人が足りない、どうしたらいいのか」「仕事の依頼はすごくあるけど、それに応えられないのが現状」(訪問介護事業者「ぷっくるケア」宮里裕子代表)(ABEMATIMES 6月21日)
施設サービス・訪問サービスを問わず、介護人材は都内でも確保が難しくなったようだ。ある社会福祉法人では、人材紹介会社に頼っていたが、一人につき90万円前後の紹介手数料の負担額が経営を圧迫しかねないと判断して、今までは懐疑的だった外国人労働者の雇用に積極的になったという。
「うちの独身寮は半分以上空室だったが、外国人の雇用を始めたら満室になって、今では部屋が足りなくなってしまった」
別の介護サービス会社の取締役も、外国人雇用の準備に入った。
「幸いにも今は日本人スタッフを何とか確保できているが、5年後を見据えると、人材を確保できなくなる可能性が高い。外国人介護士が集団で失踪したという情報も耳にするが、そうしたリスクを覚悟したうえで、外国人採用に踏み切らないと現場が廻らなくなってしまうだろう」
こうした窮状に配慮して、介護福祉士国家試験の緩和措置もスタートした。2026年1月実施予定の第38回国家試験から複数の科目を1つのパートとして合否判定するパート合格(合格パートの受験免除)を導入する。介護福祉士の質を低下させることなく、より受験しやすい仕組みを導入したというのが緩和措置の趣旨だ。
国家試験の体系を変更せざるを得ないほど人手不足が進んでしまったのである。
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