2025/07/02
ハローワークが仲介する就職が減っている。厚生労働省が27日発表した5月の一般職業紹介状況によると、ハローワーク経由の就職件数(原数値)は9万7594人となり、前年同月より8.5%減った。減少は10カ月連続だった。職探しが民間サービスにシフトする傾向が強まっている。
季節調整値ベースでは9万2699人だった。4月は9万866人に落ち込んでおり、数字が遡れる2002年以降でみると、新型コロナウイルスの影響で極端に落ち込んだ20年5月に次ぐ2番目の低さだった。今年5月も同様に低い状態が続いている。
季節調整値の月別の就職件数は、08年のリーマン・ショックが起きた直後も15万人を下回らなかった。コロナ禍の20年4月に10万人を割り込んだ後、一時的に回復したが、昨年度以降は継続的に10万人を下回っている。
背景に民間サービスでの就職が増えていることがある。厚労省の雇用動向調査によると、23年に就職した人のうちインターネットを含むハローワークを利用した人は13・9%にとどまった。5年前の18年は21・3%あった。
一方、求人誌など「広告」を使った割合は34・5%で、28・9%(18年)から伸びた。
(日本経済新聞 6月28日)
ハローワークは求人の要件を満たせば求人票を登録できる。札付きのブラック企業の求人票も登録されているので、求職者にとっては、求人企業の質への不安が拭いきれない。
厚生労働省はハローワークと民間職業紹介事業者について「就職困難者を中心に支援する雇用の最後のセーフティネット」「民間事業者は、在職者、専門的な ホワイトカラー等の職業紹介で強みを発揮している」と役割の違いを指摘する。
厚労省に整理によると、求職者の特徴は、ハローワークは離職者が中心(在職者は約2割)で、フリーター、障害者、生活保護受給者、母子家庭の母など就職困難性の高い層も多く利用している。民間職業紹介事業者は在職者が中心(約6割)で、ホワイトカラー(専門・技術職等)の職業紹介が中心である。
求人企業の特徴は、ハローワークの大部分は中小・零細企業からの求人で、月収21万円が平均値(年収で300万円程度が想定される)。民間職業紹介事業者は、手数料を払っても人材を確保したい中規模企業 からの求人が多く、 年収560万円が平均値である。
求職者の平均年収に大きな差があり、ハローワークの314万万円に対して、民間職業紹介事業者のうち人材紹介会社は560.万円である。
求人企業も求職者も、ハローワークよりも民間職業紹介事業者の案件のほうがスペックは高く、ハローワーク経由の就職件数の減少は、双方ともスペックの高いほうにマッチングが移行している傾向がうかがえる。
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