2025/06/27
自民党は19日、7月の参議院選挙に向けて、「2030年度に賃金約100万円の増加を目指す」ことなどを明記した公約を発表した。
スローガンには「日本を動かす 暮らしを豊かに」を掲げ、「強い経済」「豊かな暮らし」「揺るぎない日本」の3つのビジョンを柱としている。
物価高対策としては、すべての国民に2万円を給付するほか、子どもや住民税非課税世帯の大人には1人あたり4万円を給付すると明記した。給付には手続きを簡素化するため、マイナンバーカードの活用を進めるとしている。
また、賃上げ政策としては、2030年度に賃金約100万円の増加を目指すとしている。あわせて、2040年までに日本の名目GDPを1000兆円に拡大し、国民の平均所得を5割以上引き上げることも盛り込んだ。 税制面では基礎控除等の適時引き上げをはじめとした所得税改革を柱に掲げている。
さらに、ガソリン価格の定額引き下げを実施する方針も打ち出した。 加えて、アメリカの関税措置による影響に備え、十分な予算を確保し、中小企業への影響が出た場合は追加対策を行っていくとしている。
(フジテレビ 6月19日)
賃上げと物価高の追いかけっこは、物価高がリードしつづけ、なかなか賃上げが追いつかない。すでに中小企業にはこのレースを降りるムードも出ている。政府与党や経済団体が賃上げを継続的に推進しても、資力が乏しく、上向く機運にない。
今年3月に東京都信用金庫協会が「2025年中の賃上げ見通し」を調査したところ、引き上げない企業が58.9%と半数を超えた。理由は「今後の業績見通しが不透明」が15.7%、「自社に従業員はいない(家族経営など)」が14.8%、「賃上げに見合う価格転嫁ができてない」が14.5%、「売上の低迷や伸び悩み」が6.0%。だった。
こうした理由は昔から変わっていない。企業規模による資力の格差は、企業規模による取引の力関係がある以上、解消されることはない。
自民党が参院選で掲げる公約に、名目賃金上昇率3%を達成して、2030年度に賃金約100万円増をめざすと掲げても、多くの中小企業はリアリティーをもって受け止められないだろう。同協会の調査で賃上げしない理由に挙がった「今後の業績見通しが不透明」「賃上げに見合う価格転嫁ができてない」「売上の低迷や伸び悩み」などをどう解消するのか。その手段を公約に掲げてもらいたいが、抽象論になってしまい、難しいのだろう。
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