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ハローワーク増員、高齢者・障害者の相談手厚く 専門拠点3倍に

厚生労働省は職探しする高齢者や障害者の支援を強化する。相談員を手厚く配置する「課題解決型」のハローワークを今年度に12カ所設置し、従来の6カ所から3倍にした。働きたいと望む高齢者や障害者が増えているが就職の壁は高い。求人企業と求職者の橋渡しをしてミスマッチを解消する。
札幌、仙台、高松、長岡など全国12カ所のハローワークの相談員をそれぞれ5〜9人増やした。いずれも1割ほどの増員となる。求職者の応募書類の作成を支援するほか面接の練習を手厚く実施する。仕事を探す高齢者は増えている。65歳以上の有効求職者は2024年度に月平均27万6880人と10年前の2倍以上になった。足元は物価高で不足する生活費を補うため働こうとする動きが広がっている。
 一方、高齢求職者の就職率は24年度に18%と、全年齢の24%より2割ほど低い。
 高齢者採用に消極的な企業は多い。年齢を重ねるほど労災発生率が上がるのが一因だ。30~34歳の男性は千人当たり1・93人なのに対し、60~64歳は3・56人、70~74歳は4・21人に達する。ハローワークの相談員が求職者の体力などを詳しく聞き取って無理のない仕事を紹介することで、企業が安心して採用できるようにする。
(日本経済新聞 6月18日)

 昭和の時代から公的サービスの不足分がニュービジネスを生み出し、市場が形成されてきた。学校に対しては学習塾、警察機構に対しては警備会社、商工会議所に対しては経営コンサルティング会社、郵便局に対しては宅配便会社、社会福祉協議会に対しては介護サービス会社、ハローワークに対しては人材紹介会社が市場を開拓してきた。
 公的サービスがあらゆるニーズに対応できれば、これらのニュービジネスは台頭しなかったが、制度と単年度予算で運営される公的サービスには限界がある。だが利用者にとっては、費用負担の少ない公的サービスの拡充が望ましい。
求人側にとっても、公定価格で経営する病院や介護事業者などは人材紹介会社に支払う手数料負担が重荷になる例が散見されるが、ハローワークの機能が拡充すれば解消を期待できる。着目したいのは和歌山労働局の取り組みだ。
和歌山労働局は2015年度から継続的に業務改善を実施し、22年度の結果と25年度の目標設定を開示している。ハローワーク和歌山「就職支援業務報告」では、所長が次のように報告した。以下は要約である。
とくに重点的に取り組んだ事項では、刷新されたハローワークシステムを活用し、求職者に対する就職支援に取り組み、雇用保険受給者に対する早期再就職支援に重点を置き、職業相談・職業紹介業務を実施した。ハローワークのサービスや支援を説明する初回講習の説明内容を刷新し、早期再就職のメリットと失業期間が長期化することによるデメリットを中心に説明した。その結果、雇用保険受給者の早期再就職件数は1593件となり、目標の1457件を達成することができた。
和歌山県内の他のハローワークも同様に報告し、そのうえで、就職件数、雇用保険受給者の早期再就職件数、生涯現役支援窓口での65歳以上 の就職件数などの数値目標を開示している。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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