2025/06/16
企業が中途採用を拡大するなか、中途入社の社員の「孤独」が課題として浮上してきた。民間の調査では6割が孤独を感じている。即戦力を求められる一方で、社内の人脈がないなど思うように力を出せない悩みを抱える。離職を防ぐため、対策を講じる企業も出てきている。
「気軽に弱音を吐ける人が一切いないのがつらい。前職の人間関係が恋しい」。4月に大手食品メーカーの営業からコンサルティング会社に転職した都内に住む女性(29)は肩を落とす。配属された部署に中途採用は自分しかいない。
入社後の研修はオンラインで1日だけ。ミーティングの種類やスケジュールの書き方など、独特な社内用語や慣習を覚えるのにも苦労した。一つ一つさまつなことでも、何度も人に尋ねるのも気を使い。心が疲労していった。
「中途入社はできて当たり前」との周囲からの期待も感じる。「すぐ成果を出さないといけないというプレッシャーが強い」。仕事終わりに「転職、何カ月で慣れる」と検索するのが日課になっている。
(日本経済新聞 6月5日)
濃淡の差はあるが、企業はムラ社会である。社内用語や業務ルールがしきたりとして運用され、排他性をともなって「会社の常識」に浸透している。その度合いが強ければ中途採用社員にとっては違和感の連続で、慣れるまでに時間がかかる。
どの会社の社内用語や業務ルールは間違った内容ではないのだが、どこかズレていることが少なくない。採用時に文書にまとめて渡して、読み込んでおくように説明しておけば戸惑いを減らせるだろうが、会社の幹部陣に「うちの会社はズレている」という認識はないだろうから、文書化は期待できない。
本来、ズレを修正するのが中途採用者の役割でもあるが、ムラ社会では従順に振る舞うことが求められる。
パーソルキャリアの調査機関『Job総研』が、今年5月に576人の社会人男女を対象に「2025年 職場の孤独実態調査」を実施したところ、全体の69.2%が職場で孤独を感じた「経験あり」だった。その83.0%が職場の孤独が仕事やメンタルに影響し、「不安,ストレスの増加」や「帰属意識の低下」をもたらした。こんな問題で離職者が出るのは採用コストの無駄遣いだ。仲間ができるような配慮が会社側には必要だろう。
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