2025/06/06
すかいらーくホールディングス(HD)はファミリーレストラン「ガスト」や「バーミヤン」などの店長の年収を最大1000万円超とする人事制度を導入した。従来は840万円が最大だった。現場の権限を強めるとともに給与水準を引き上げて、優秀な人材をつなぎ留める。
転職・求人サービス「doda(デューダ)」を運営するパーソルキャリア(東京・港)によると、外食や小売りの店長職の平均年収は417万円にとどまっている。人口減が進む中、優秀な人材確保に向けて給与体系を見直す動きが出ている。
4月には店長などマネージャークラスの人事制度を改定した。2025年度の店舗の売上高や利益などの業績を踏まえて、26年度の月給と賞与に反映される人事等級が決まる。早ければ26年度に年収1000万円の店長が誕生する。
成果主義の割合を高めて社員のやりがいを引き出す。店舗サービスの改善や来店客の増加策など収益性の向上に取り組む店長を評価する。これまでは従業員の労働時間の調整や経費管理が主な評価対象だった。
谷真会長は「専門性や生産性の高い人材をどれだけ育成できるかが、会社の成長のために極めて重要になる」と話す。
(日本経済新聞 5月25日)
店長職で年収1000万円という水準はけっして高くはない印象だが、すかいらーくホールディングスでは、平均して入社平均2~3年で店長(マネージャー)に昇格する。同社の採用サイトで確認すると、年収例(全国勤務の場合は入社1年目に約440万円.、3年目に約558万円. 5年目に約615万円。入社2~3年で年収1000万円なら高水準だ。
同社は5月15日に公表した2025年度第1四半期決算報告で、現在進めている「店舗中心経営」に言及した。マネジャーへ権限移譲を行い、業務をサポートするDXを導入し、人財の採用・育成をバックアップする。そのうえで、店舗の経営者としての能力を高め、サービス品質の向上と利益向上に主体的に取り組むことを促すという。
店舗中心ゆえにマネジャーの経営力醸成に重点を置き、マネジャーの評価制度は「店舗運営利益」と「サービス品質の向上」を重視した評価制度に変更し、マネジャーの等級制度はマネジャーが主体的に店舗を運営して利益目標を達成することで、成果に報いる制度に変更する。
さらに業績インセンティブ制度も導入し、営業部ごとに立てた目標利益の達成により追加賞与を支給することで、主体的な店舗運営とマネジャー同士の連携を強化する。
店長に年収1000万円を支給する給与体系の背景には、店舗中心経営の推進がある。
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