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日産子会社のジヤトコ、早期退職募集へ EVシフトにらむ人員規模適正化

経営再建中の日産自動車子会社で、変速機大手のジヤトコ(富士市)が早期退職の募集を始めることが6日、分かった。業界の電気自動車(EV)シフトをにらみ、人員規模の適正化を図るという。日産が打ち出している世界で2万人の人員削減とは、直接の関係はないとしている。  
対象は勤続5年以上の40歳から64歳までの非管理職で、製造業務に直接従事しない社員。保全や購買、技術、総務系などの間接部門から募る。規模や募集時期は明らかにしていないが、対象者にはすでに打診が始まっているという。  
ジヤトコの連結従業員数は3月末時点で約1万1700人。エンジン車向けの事業が主力のため、部品点数の少ないEV普及は逆風となる。EV向け駆動装置に加え、二輪車や電動自転車向け部品といった新製品で市場開拓を進めるが、需要は未知数の段階だ。  
ジヤトコの株式は日産が75%を保有。売上高の約8割を日産向けが占めるという。日産の業績悪化の影響が今後、拡大する可能性も出ている。
(静岡新聞DIGITAL 6月7日)

この記事に「日産が打ち出している世界で2万人の人員削減とは、直接の関係はないとしている」と書かれてあるが、ジヤトコの株式は日産自動車が75%を保有し、売上高の約8割を日産向けが占めるのだから、いわば日産とは運命共同体である。確かに「直接の関係はない」のだろうが、業況は日産と一体の関係にある。
早期退職の対象は勤続5年以上の40歳から64歳までの非管理職で、製造業務に直接従事しない社員という。現業部門の稼働力を維持しつつ、間接部門を軽量化しておく施策は遠からず受注量が減少しかねない事態への備えだろう。
また記事に「対象者にはすでに打診が始まっている」とあるので、早期退職とはいえ、希望退職ではなく勧奨退職である。通例がジヤトコに当てはまるかどうかはさておき、勧奨退職の打診を受けて応じなければ、人事上の不利益を受けることが多い。会社に対して非協力的とみなされ、冷遇されるだけである。復活の道が用意されることも期待できない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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