2025/05/30
企業がハローワークに求人を出しても大半が採用に結びついていない。厚生労働省によると2024年は採用割合が11.6%と過去最低で、求人のおよそ9割が空振りだった。民間の人材サービスの拡大に加え、企業と求職者の間のミスマッチが広がっている。
厚労省は1963年からハローワークへの新規求人件数のうち、採用につながった割合を公表している。60年代半ばは50%近くに達していたものの、その後は低下傾向にある.。近年はリーマン危機後の2009年の31・9%をピークに急低下している。
もともと景気が良いときは比率が下がる傾向にある。人手不足で分母の求人件数が増えるためだ。景気が悪いときは求人が減り、比率は上がりやすい。
近年の低下傾向は景気以外の要因も絡んでいる。「民間のサービスを使って職探しをする人が増えている」と厚労省の担当者はみる。
失業給付を受け取る場合はハローワークに求職者の登録をする必要があるものの、転職者を含めて民間サービス経由で仕事を決める例は多いとみられる。ハローワークを通じた就職件数は24年に9・7万件と1963年以降で過去最低だった。
(日本経済新聞 5月20日)
会社がハローワークに求人を申し込む場合、事業所登録をしたうえで、事業所登録シートに、事業所名、代表者名、事業所住所、最寄駅、福利厚生の内容、創業設立年、資本金、
連絡先、事業内容、会社の特徴を記入する。
次に求人申込書に記入する。記入する項目は、求人区分等情報、事業所情報、仕事内容情報、賃金・手当情報、労働時間情報、保険・年金・定年等情報、求人PR情報、選考方法情報である。
形式を満たせば求人できるのである。札付きのブラック企業がハローワークに求人票を登録している例も珍しくないが、都内のハローワーク職員にその適否を尋ねたところ、職員はこう説明した。
「ハローワークは求人と求職を仲介する公的機関なので、事業所登録と求人申込書に漏れなく記入していれば、離職率が高すぎるとか、ハラスメントが頻発しているなどの理由で登録を断わることはできない。民間の人材紹介会社なら断るかもしれないが、ハローワークは立場上、断われない」
この実態を求職者もわかっているので、おそらくハローワークの求人に距離を置いてしまうのではないだろうか。
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