2025/05/27
兵庫県の斎藤元彦知事らの疑惑が文書で告発された問題の対応に追われる兵庫県庁で、知事部局の2024年度の自己都合退職者が前年度比4割増の103人に達したことが16日、明らかになった。県人事課は転職市場の活性化が要因だと説明するが、職員の間には業務の負荷が高まったことも影響しているとの見方も出ている。
県によると、知事部局の職員数は約6000人。自己都合退職が100人を超えたのは、115人だった07年度以来17年ぶり。この時は給与削減などの大規模な行財政改革があった。その後は50~60人台で推移し、斎藤氏が知事に就任した21年度以降は70人台となり、23年度は74人だった。
文書問題が明るみに出たのは24年3月。24年度に入ると、労働市場で需要が高いとされる技術職だけでなく、事務職の退職も相次ぎ、県内の他の自治体に移る職員もいたという。
県によると、県庁の相談窓口への電話件数は24年度は1万1359件に達し、例年の約4倍だった。多くは文書問題に関する苦情で、県庁の各部署にも抗議の電話があった。
県職員労組は24年7月に「文書問題の発生以来、現場の業務遂行には大きな支障が生じている」と県に訴えた。
(毎日新聞 5月16日)
この記事にあるように、兵庫県人事課は、斎藤県政の混乱を職員退職の背景と述べるはずがない。斎藤元彦知事が混乱の責任を認めないうちは、立場上、問題の所在をあいまいにして、要因を社会情勢一般に求めるコメントを出すのはやむを得ない。
公的機関に限らず民間企業でも、上司である経営トップの言動が退職増を誘発していても、経営トップ本人が認めない限り、社外へのコメントはあいまいにととどめておくのが通例である。経営トップに原因があるとコメントすれば反乱になってしまう。
ただ兵庫県の場合、内定の辞退者も多かったので、若年層にとっては希望を持てない職場と評価されたことは否めない。斎藤知事がこの事態を認識して、改善の道筋を示すてことが必要だが、これまでの会見のように「真摯に受け止める」「重く受け止める」という決まり文句でかわしてしまうのかもしれない。
混乱の原因になった公益通報の取り扱いについて、斎藤知事が「適正だった」という見解を修正することはないだろうから、兵庫県政の分断は当分つづいて職員も混乱を強いられ、採用と定着にしわ寄せがおよぶ事態は避けられない。とんだ災難である。
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