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介護職員ら緊急集会「賃上げを」 人材流出深刻、財源の確保求める

介護現場で働く人たちが8日、東京都内で緊急集会を開いた。人手不足と物価高が続く中、他産業との賃金差が広がり、人材流出が深刻化しているとして、賃上げの財源確保を国に求める決議を採択した。参加者から「使命感だけで働くには限度がある」との声が上がった。
 介護事業所が受け取る介護報酬は国が決めているため、物価高に伴うコスト上昇分を直ちに価格転嫁できない。経営難に陥る事業所が増えており、職員の賃上げの原資確保は難しい状況だ。  
集会で全国老人保健施設協会の東憲太郎会長は「(介護職の)賃金を全産業並みにしない限り、人材流出は続く。このままでは介護業界は持たない」と訴えた。
(共同通信 5月8日)

介護職の離職理由は低い賃金水準にあると従来から業界団体は主張している。確かに賃金水準は低いが、介護労働安定センターの「令和5年度介護労働実態調査」によると、離職理由で賃金水準が突出しているわけではない。
直前職が介護関係の仕事だった介護従事者がその直前職を辞めた理由では 「職場の人間関係に問題があったため」(34.3%)がもっとも多く、次いで「法人や施設・ 事業所の理念や運営のあり方に不満があったため」(26.3%)、「他に良い仕事・職場があったため」 (19.9%)、「収入が少なかったため」(16.6%)とつづいた。賃金は4番目の理由である。
もっとも多い離職理由の人間関係の内訳は、49.3%が「上司の思いやりのない言動、きつい指導、パワハラなどがあった」、43.2%が「上司の管理能力が低い、業務指示が不明確、リーダーシップがなく信頼できなかった」だった。
これらの問題を解消する組織改革についても、業界団体は問題視してメッセージを出せばよいのではないのか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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