2025/05/15
中小企業での介護離職を食い止めようと、厚生労働省が対策に力を入れている。離職が後を絶たないのは、業務負担が増す同僚への気兼ねなどから介護休業を取得しにくいのが一因。このため今年4月から補助金を増額し、代替者の雇用など、従業員が安心して休業できる環境の整備を促している。
従業員が介護休業を取得するのに伴い、代替者の新規雇用や派遣従業員の受け入れに踏み切れば、休業5日以上で補助金20万円を支給している。4月からは、より長い休業取得を後押しするため、15日以上なら30万円に増やした。
業務を引き継いだ同僚に手当を支給した場合の補助金は、これまで5日以上で5万円。
(共同通信 5月2日
)
経済産業省の調査によると、介護離職者は毎年約10万人発生し、2030年には、家族介護者のうち約 4割(約318万人)に増え、経済損失が約9.1兆円となる見込みである。経済損失の内訳では、仕事と介護の両立困難による労働生産性損失が占める割合がきわめて大きい。
さらに介護離職には、復職後に本人のパフォーマンスが低下する問題も派生するという。平均して介護発生前後で約3割のパフォーマンスが低下するという。一般社員から課長クラスまでは男女で平均値に大きな差は見られないが、部長や役員クラスの女性に、男性と比較したときのパフォーマンスの低下が顕著というデータが出た。女性のほうが離職中の負担が大きいのだろうか。
こうした窮状に歯止めをかける趣旨で、介護離職を回避する公的な手段も模索されてきた。2012年に制度化された「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」は、看護師や介護士が毎日自宅を複数回訪問する24時間対応の介護保険サービスで、介護離職を回避する切り札として期待されていた。
だが、サービスの普及が全国で期待通りに進んでいない。人材確保が難しく事業所が増えないことや、サービス内容が複雑でケアマネジャーの理解が十分でないことなどが背景である。
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