2025/05/14
千葉県内企業の社長の平均年齢は令和6年末時点で61・2歳で、前年を0・2歳上回り、過去最高を更新したことが帝国データバンク千葉支店の調べでわかった。経営者の「病気・死亡」による倒産は昨年県内で17件あり、社長の高齢化に伴う「不測の事態」は企業経営において大きなリスクになっている。
社長の平均年齢を業種別にみると「不動産」が63・8歳で最も高く、次いで「製造」62・5歳、「卸売」62・4歳、「小売」61・4歳。一方、「その他」を除いて最も低かったのは「運輸・通信」の60・0歳、「建設」60・3歳、「サービス」60・5歳と続いた。千葉県全体の61・2歳は全国平均の60・7歳を上回り、上から16番目。
交代した社長の就任経緯をみると、「同族継承」が46・2%と、「内部昇格」31・5%を上回り最高だった。交代前後の社長の年齢差では「内部昇格」の8・5歳差に対し、「同族継承」が22・4歳差と最も大きかった。 昨年、社長交代があったケースをみると、社長の年齢は平均17・8歳若返った一方、交代率は全体の3・34%にとどまった。後継者不在企業は年々減少して、昨年は42・2%まで改善しているが、後継者がいても事業継承が進まず、倒産に至るケースが増加している。
(産経新聞 5月2日)
高齢で働く人は人生100年・生涯現役の手本として讃えられるが、社長と役員がこの風潮に乗せられてしまうと世代交代を遅らせてしまい、次世代の経営幹部体制がいっこうに整わない。働くことと高位の役職にとどまることは違うのだから、混同は避けなければならない。
社長の高齢化を防ぐ手段のひとつは、役員定年制を設けることである。長老支配体制の瑕疵が第三者委員会に指摘されたフジテレビジョンは、代表取締役の定年を70歳、それ以外の常勤取締役と執行役員の定年を65歳とする人事案を総務省に提出した。
役員定年制の次に必要な施策はサクセッションプラン(後継者育成計画)の運用である。日本取引所グループは「コーポレートガバナンス・コード」で、次のように述べている。
「取締役会は、会社の目指すところ(経営理念等)や具体的な経営戦略を踏まえ、最高経営責任者(CEO)等の後継者計画(プランニング)の策定・運用に主体的に関与するとともに、後継者候補の育成が十分な時間と資源をかけて計画的に行われていくよう、適切に監督を行うべきである」
この考え方は中小企業にも当てはまる。大手企業と違い、社内に候補者がいないという事情に対しては「後継者候補の育成が十分な時間と資源をかけて計画的に行われていくよう、適切に監督を行うべきである」という提言を踏まえたい。
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