2025/05/06
金融機関を処分する権限を持ち、こわもてのイメージも漂う金融庁。実はそのなかで働く人の出身は多様で、新卒一括採用がなお中心の霞が関の中央省庁のなかでは異色の存在だ。
「業界全体を見渡して公的な立場から貢献したかった」。社会人10年目ごろに金融庁に転職した金融犯罪対策室長の斎藤豊氏は話す。前職は監査法人で、金融庁への出向経験があった。「金融機関の健全な業務運営促進に関わるという当時の希望は実現してい.る」と満足げだ。
金融庁ではこうした転職組は珍しくない。背景には2000年の発足直後から「霞が関の外へ」と人材を求めてきたことがある。
もともと発足時は財金分離を反映し、旧大蔵省の出身者が大半を占めていた。だが、不良債権処理や国際規制の交渉、証券市場の整備など業容が拡大するにつれて、旧大蔵省の人材や新卒プロパー採用だけではすぐに間に合わなくなった。
活路を見いだしたのが民間からの登用だ。法律・会計事務所や証券、銀行、ファンド関係者など出向者や中途採用は多岐にわたる。「金融庁は変化の早い金融業界や市場と対峙する。民間人材の知見を生かし、受け入れやすい土壌もあった」とある幹部は語る。
(日本経済新聞 4月25日)
民間企業から国家公務員に転職すると収入減に至ることが募集のハードルになっているといわれるが、人事院が実施した中小企業経営者・マスコミ等との意見交換では、こんな意見も出た。
「国家公務員・地方公務員の給料の実態を的確に把握していないが、一般の企業からすると、とても良いと感じる。役所よりも給料が良 いという時代もあったが、直近の10~20年くらいの様子を見ると、上場企業 は別格として、一般の中小企業主の感覚から言えば、国家公務員の給料はとても良いと感じる」
「民間の感覚では、赤字経営である国が、ボーナスを支給するのが良いのか、 本質的に疑問としてある。民間企業は業績によって、ボーナスを支給できる 企業とできない企業がある」
その一方で「国家公務員が良きモデルとなって給与等の処遇を改善し、民間にも波及す る好循環を生み出してほしい」「国のために働いているので、大企業よりも高めの給与をもらって然るべきではないか」など現行の水準は低いと主張する意見も出た。
結論は出ないが、人事院の有識者会議・人事行政諮問会議は、キャリア官僚の給与水準の比較対象を現行の「従業員50人以上」の企業から「従業員1000人以上」に切り替えるべきだと提言した。給与水準のハードルは下がる機運にある。
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