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氷河期世代、3本柱で支援 就労・社会参加・老後、石破首相が指示

政府は25日、現在40~50代の就職氷河期世代などのサポートに関する関係閣僚会議の初会合を首相官邸で開いた。
石破茂首相が出席し、(1)就労・処遇の改善支援(2)社会参加に向けた段階的支援(3)高齢期を見据えた支援―を3本柱とし、関連施策の充実を図るよう指示。6月に具体策を取りまとめ、経済財政運営の基本指針「骨太の方針」に反映させる考えを示した。
首相は就職氷河期世代の現状に関し、「今もなおさまざまな困難を抱えている方が大勢いる」と強調。「ニーズに応じて適切かつ効果的な支援を行うことは待ったなしの課題だ」と述べ、対応策の検討を急ぐよう各閣僚に求めた。
雇用環境の厳しいバブル崩壊後の1990~2000年代に就職活動を行った世代は、現在も低賃金や低年金などの問題に直面している。
首相が掲げた3本柱のうち「就労・処遇改善」では、リスキリング(学び直し)の拡充を検討。「社会参加」では引きこもりの人の就労準備、社会とのつながり維持を後押しする方向だ。
「高齢期」に関しては、就業機会を整え、資産形成や住宅の確保をサポートする。
(時事通信 4月25日)

2014年7月、内閣官房に「まち・ひと・しごと創生本部」設立準備室が発足して地方創生のムードが沸き起こった当時、就職氷河期世代を非正規雇用から正規雇用に転換して結婚・出産の環境を整えれば、少子化の進行に歯止めをかけられるというシナリオが、シンポジウムなどで提言されていた。
当時は一定の説得力をもったシナリオだった。
だが、氷河期世代はいまや40~50代である。企業ではリストラ対象世代に該当し、非正規雇用から正規雇用に移行させる措置は、もはや現実的ではなくなった。老後対策にフェーズが移った。
どれだけの年金を受給できるのか。非正規雇用で年金の納付額が少ない現状を踏まえれば、悲観的な事態が待ち構えている。
国民年金(老齢基礎年金)は満額受給でも月6万9308円。厚生年金(国民年金分含む)の平均受給月額は約14万4000円。この金額では生活が成り立たないので、65~70歳になってもなお働いている高齢者が多い。
おそらく氷河期世代の年金受給額はこの水準を下回り、現状では貧困老人の予備軍になりかねない。生活保護受給者の増加も考えられる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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