2025/04/30
西松建設は工事現場に出勤した建設技能者に対して電子マネー「PayPay」などに交換できるポイントを付与する仕組みを広げる。2025年度に10〜20カ所の現場に導入し、前年度の3倍以上に増やす。建設各社は高齢化などで人手不足に直面しており、金銭的なインセンティブで人材を確保する。
スタートアップのリバスタ(東京・江東)と組み、ポイント配布システムの導入を進める。現場への入場時に顔認証で就労履歴を登録すれば、西松建設が下請けのサブコン(専門工事会社)で働く技能者に電子マネー「PayPayマネーライト」と交換できるポイント(50円分)を付与する。
他にも勤務実績が優秀な技能者に対する月例の表彰に合わせて、1人当たり3000円分のポイントを支払う。毎月開催の安全教育・訓練への出席者も1000円分のポイントを受け取れる。
24年度に滋賀県内の工場現場など3カ所で導入した。現場を担当する所長は「技能者との会話の頻度が増えるため、現場の連帯意識が高まる」と話す。技能者からも「次もポイント提供がある現場に行きたい」との声が聞かれた。
(日本経済新聞 4月22日)
リバスタは建設技能者向けポイントサービス「ビルダーズポイント」を運用している。これは、元請会社の裁量で独自のポイントプログラムを簡便に構築できるサービスで、安全講習会・清掃会などのイベント参加、改善活動、ヒヤリハット報告、入場記録に応じて建設技能者へポイントを付与できる。
建設技能者へ付与するポイント数や付与の場面は元請会社が自由に設定でき、建設技能者は受け取ったポイントを「PayPayマネーライト」に交換し、提携サービスや加盟店での決済に用いることが可能である。
リバスタのホームページに、このサービスを導入している鹿島建設の事例が紹介されている。鹿島建設では、建設現場の安全管理として、現場でのKY(危険予知)活動記録を電子化し、オンラインで提出する「ペーパレスKY」を実施している。ベルーナ札幌ホテル新築工事現場では当初、「ペーパレスKY」の技能者からの提出率が70%程度にとどまり、提出漏れが発生していることが課題のひとつだった。
ところが「ビルダーズポイント」導入後、「ペーパレスKY」の提出と、「作業予定等の入力をした技能者を対象にポイントを付与するフローを構築したところ、「ペーパレスKY」の提出率は90%、建設現場施工管理サービス「Buildee(ビルディー)」への入力率は100%に改善されたという。
ポイント付与は第3の賃上げとして他の業種でも活用できる。
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