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高齢施設と介護未経験者をマッチング 今年度から厚労省がモデル事業を創設

厚生労働省は今年度から、介護現場と有償ボランティアのマッチング機能を強化するモデル事業を開始する。民間事業者のサービスを活用し、介護未経験者が介護の周辺業務を短時間で行える仕組みを促進。これまで介護と関わりのなかった層との接点を増やし、介護人材の裾野を広げたい考えだ。  
介護未経験者等マッチング機能強化モデル事業は、都道府県や市町村といった自治体が実施主体。総額で7800万円の予算を計上しており、自治体の応募状況などによって補助額を決める。補助金は、民間事業者によるマッチングサービスの導入経費や会議の開催経費などに使える。  
特別養護老人ホームやデイサービスなど介護事業者は、ウェブやアプリなどのサービスを通じ、シーツ交換や清掃、レクリエーションといった業務の内容や時間、金額を提示する。それを見た人が応募するとマッチングが成立する仕組みだ。  
厚労省がこうしたモデル事業を立ち上げる背景の一つには、介護人材不足の加速がある。  厚労省によると、2040年度に必要な介護職員は272万人で、今後約60万人必要となる。にもかかわらず、23年度の介護職員数は212万6000人で、22年度より約3万人減少。介護保険制度が開始した00年度以来、初めて減少に転じる事態に陥っている。
(福祉新聞 4月19日)

厚生労働省の介護未経験者等マッチング機能強化モデル事業には「地域の介護事業者等と連携し、介護未経験者でも行うことのできる介護現場の周辺業務などを切り出した上で、民間事業者のマッチング機能等を活用し、効率的に短期・短時間の業務と未経験者のマッチングを実施」、さらに「WEBやアプリ等の活用で、マッチングコストを下げつつ、介護事業者の状況等 の見える化も促進。未経験者の介護現場での業務への心理的ハードルを下げる」と趣旨が書かれている。
要はスポットワーカー活用による人手不足解消に取り組むイメージだ。
タイミーによると、介護業界のタイミー募集人数(2025年1月時点)は、前年同月比約3.6倍。ワーカーにおける介護有資格者は、2025年1月に前年同月比約2.0倍の約41.8万人を突破した。
 タイミーが「人材の定着」をテーマに、介護事業所を対象としたアンケートを実施したところ、約8割の事業所が「スポットワークを通じて『リピーター化』『長期採用』の形での人材定着が実現した」と回答したという。
 人手不足解消の目途が一向に立たない介護業界で、スポットワーカーの活用が進みそうだ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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