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石破首相と連合、中小賃上げへ連携 16年ぶり政労会見

石破茂首相は14日、連合の芳野友子会長らと政策協議「政労会見」を行った。  
高水準の賃上げを維持している2025年の春闘を踏まえ、中小企業や小規模事業者の賃上げに向けて連携を確認。芳野氏はトランプ米政権の関税措置に懸念を伝え、首相は国内対策に万全を期す考えを示した。
 芳野氏は席上、米関税について「賃上げの機運に水を差しはしないか懸念している。政府の最大限の善処をお願いしたい」と要請した。首相は「あらゆる政策を総動員する」と説明。「中小企業に関税問題のしわ寄せがいくことがないように(したい)」と強調した。  
政労会見は麻生政権時代の09年以来16年ぶり。政府側から林芳正官房長官、赤沢亮正経済再生担当相、連合側から清水秀行事務局長らが出席した。
(時事通信 4月14日)

さる4月4日、連合は「2025春季生活闘争 4.4中小組合支援共闘集会」を開催した。
4月9日付け「連合ニュース」によると、芳野友子会長は次のように語った。
「大手組合の交渉結果を社会全体に波及させるだけでなく、中小企業特有の課題に即した取り組みも求められる。特に、賃金水準の規模間格差の是正や公正な取引環境の確保は、中小企業・小規模事業所で働く労働者の生活水準の向上だけでなく、健全で持続可能な経済の構築にも不可欠である」
その5日後に開かれた政労会見で、石破茂首相は価格転嫁の推進に言及したが、この課題はどこまで改善されるのだろか。
 公正取引委員会は価格転嫁に応じない状態について①労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコストの上昇分の取引価格への反映の必要性について、価格の交渉の場において明示的に協議することなく、 従来どおりに取引価格を据え置くこと ② 労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコストが上昇したため、取引の 相手方が取引価格の引上げを求めたにもかかわらず、価格転嫁をしない理由を回答することなく、従来どおりに取引価 格を据え置くこと――と説明の回避を問題視している。
この3月には価格転嫁に応じない企業として、コーナン商事、電通、日本通運の3社を公表した。ただ、公表だけでは弱い。罰則規定が設けられない限り、この問題は解消しない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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