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なぜ民間から佐賀県庁を目指すのか 大卒・行政職の4割が中途採用

新年度がスタートした1日、各地の官公庁や企業で辞令交付式や入社式があった。このうち民間企業出身者らの積極的な採用を図る佐賀県庁では今年度の新規採用職員136人の18%にあたる24人が中途採用。大卒の行政職だけみれば4割にあたる20人が民間からの転職組だ。さまざまな思いを胸に新生活をスタートさせた。
「いろんな経験が交差する県庁であってほしい。これまでの人生を仕事に生かしてほしい」  県庁ホールであった新規採用職員への辞令交付式。山口祥義知事はこう述べて中途採用
職員への期待を示した。  
県が多様な価値観や経験を行政に反映させようと民間企業出身者らの中途採用を本格化
させたのは2005年から。今や技術職を除く県庁の行政職全体の17%にあたる283人を中途採用組が占めており、県によると6年連続で都道府県のトップを続けている。  
なぜ民間企業から県庁を目指すのか。この日辞令を受けた原田加奈子さん(45)は都内の信用情報会社で15年間働き、両親のことを考えて古里の佐賀に戻ることにした。「佐賀県は専用サイトを立ち上げたりして中途採用に力を入れている。業務も幅広く、即戦力として県民の役に立ちたい」と話す。
(毎日新聞 4月2日)

 

国家公務員と地方公務員の志願者が減少し、若手職員の離職も増加傾向にある実態がしばしば報道されるが、その一方で、会社員から公務員への転職も増えている。行政組織は人材確保に懸念しているようだが、それだけ人材の流動化が進んでいるという一面もうかがえる。
エン・ジャパンが同社の求人サイト「エン転職」約3600人を対象に調査したところ、
56%が「官公庁・自治体への転職に興味がある」と回答した。興味を持つ理由の上位は「安定した収入」「仕事を通じた社会貢献」。大まかに見れば、公務員の収入は大手企業よりも低く中小企業よりは高いが、民間企業のような上げ下げの幅は少なく、安定度は高い。
 さらに官公庁・自治体への転職で興味のある分野トップ3は、「観光企画・マーケティング」「地方創生」「教育」。予算枠の大きい土木建設や保健福祉が挙がっていないが、事業規模ではなくクリエイティブに見える分野に魅かれるのだろう。
 一方、官公庁・自治体は民間出身者の採用をどう考えているのだろうか。この設問には71%が「賛成」と回答したが、同質性の高い組織の変化を指向していることが反映されている。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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