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女性役員3割 起業家2割 政府新目標

政府は5日の男女共同参画会議で、女性活躍・男女共同参画(総合2面きょうのことば)の重点方針(女性版骨太の方針)の原案を示した。東証プライム市場に上場する企業の女性役員の比率を2030年までに30%以上にする目標を設ける。多様な価値観や考え方を企業活動に取り入れて成長につなげる。
優良なスタートアップ企業に占める女性起業家を2033年までの10年で20%にする新目標も掲げる。目標はいずれも罰則のない努力義務をする。
岸田文雄首相は4月に「従来よりも踏み込んだ具体策で女性登用の促進に弾みをつける」と強調していた。重点方針は女性登用に関する目標を定める意義を「女性のキャリア形成の意欲向上のみならず、社会経済の意思決定における多様性と活力が高まる」と記した。(日本経済新聞 6月6日).

 起業家を大別すると、生業としてマイペースで経営していくタイプ、事業の拡大を指向するタイプがある。かつての女性起業家には前者が多かったような印象もあるが、いまは
さまざまだ。
 事業の拡大を指向する起業家にはアニマル・スピリッツが必要だ。アニマル・スピリッツはケインズが定義した概念で、『雇用・利子および貨幣の一般理論』でこう説明している。
「結果が出ないことでも積極的になそうとする、その決意のおそらく大部分は、ひとえに血気(アニマル・スピリッツ)と呼ばれる、不活動よりは活動に駆り立てる人間本来の衝動」
 アニマル・スピリッツは「動機付け」「意欲」を表わすモチベーションとは質が違う。スピリッツという言葉が示すようにもっと根源的で、いわばモチベーションの基層を成している。
財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は2021年11月にとりまとめた「建議」で、安易な財政支出が民間企業に公的資金への依存を招き、アニマル・スピリッツを減退させると懸念した。
行政文書には似つかわしくない言葉だが、この「建議」の8年前にも言及された。13年の『経済財政白書』が「企業の活力を引き出し、企業家がアニマルスピリット(野心的な意欲)を発揮するようにしていかなければならない」と提言している。先天的な資質にも見えるが、むしろ経営経験を積んで目標が拡大する過程で、アニマル・スピリッツは膨らんでいくのではないのだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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