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トラック運転手不足で緊急対策、近く関係閣僚会議=岸田首相

岸田文雄首相は27日の参院予算委員会で、2024年に導入される時間外労働の規制で懸念されるトラックの運転手不足に対して、輸送・物流関連の関係閣僚会議を近く開催し、緊急対策を取りまとめると述べた。公明党の宮崎勝議員への答弁。
宮崎氏はトラック運転手の残業上限規制が導入され、人手不足が懸念される物流の2024年問題について、首相の見解を質問した。
首相は「物流の停滞が懸念されている2024年問題の解決に向けて政府として迅速に対応する必要がある」と指摘。「政府として適正な取引を阻害する取引是正や物流デジタル化、モーダルシフト(トラックから鉄道・船舶利用への転換)など輸送の効率化に取り組む」と強調した。
荷主側のさらなる取り組みを促すため、不適切な商慣行の是正に向けた「規制的措置の導入に向けて関係省庁で連携した対応を加速化する」とし、「近日中に新たな関係閣僚会議を開き、緊急に取り組む施策を取りまとめる」と述べた。
(ロイター 3月27日)

ECサイトが普及して以降、トラックの配送は小口多頻度化への流れが加速し、ドライバーの業務過多が顕著になった。
全日本トラック協会によると、トラックドライバーの年間所得額は全産業平均と比較して、大型トラック運転者で約5%、中小型トラック運転者で約12%低い。年間労働時間は全産業平均と比較して、大型トラック運転者で432時間(月36時間)長く、中小型トラッ ク運転者384時間(月32時間長)長い。
この実態を踏まえて、厚生労働省は「発荷主から運送事業者への運送委託の内容が、トラック運転者の長時間労働の原因となっている場合がある」と指摘して、対策を開示している。
運送事業者への運送委託の見直しとして「運送委託の締切時刻を見直す」「運送委託の追加/変更を少なくする」「運送委託の物量を見直す」を提示。さらに着荷主にも協力を求めて「納入指定時刻を緩和」「納入頻度の見直し」「荷卸し作業者の見直し」を提示した。
2024年までに対策の実効性が見えてくるのだろうか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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