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大企業も賃上げ要求を、中小だけでは格差是正進みにくい=連合会長

連合の芳野友子会長は25日の講演で、今年の春闘では大企業の労働組合にも賃上げを要求するよう呼びかけた。「(給与)格差是正が進みづらい状況下、大手も中小も(賃上げを)要求し、労使で交渉することが重要だ」と主張した。
経団連は18日、コロナ禍が長期化して企業業績のばらつきが大きくなっているとして、一律の賃上げには否定的な見解を示している。
芳野会長は「コロナだから仕方がない、昨年と同じでいいという議論に終始していては、安心社会への道筋が開けない」と強調。賃上げには大企業、中小企業ともに「全体で取り組むことが重要だ」と述べた。
また、複数の会社がひとつの製品を組み立てていくサプライチェーン方式の下では「生み出した付加価値の適正配分が(企業の)規模間格差の縮小には必要だ」として、そうした取り組みが中小企業の賃上げ余力になるとの考えを示した。
(ロイター 1月25日)

いくら経団連と連合が賃上げを声高に呼びかけても、企業に資金余力がなければ対応できない。
多くの中小企業にとって、今年は賃上げどころではないのではないか。
コロナ対応として政府系金融機関が実施した実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済が本格的にはじまる。既存の債務返済を含めて資金繰りが厳しくなる中小企業が激増するはずだ。
 すでに昨年末には、返済資金を求めてファクタリング会社に駆け込む中小企業が出てきている。多くの中小企業がゼロゼロ融資で急場をしのげて、昨年は倒産件数が減ったが、その反動で今年の倒産件数は増加しそうだ。
 オミクロン株騒動でコロナの収束はますます見えなくなった。規制と緩和のダッチロールが繰り返されていく。ふたたび巣ごもりが増えれば消費は冷えこむ。
 そんな折に空気に流されて無理な賃上げを挙行すれば、人件費倒産にも至りかねない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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